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第73回 菊花賞(G1)

10月21日(日)京都競馬場 芝3000m

 3歳牡馬クラシック最終戦となる菊花賞。昨年はオルフェーヴルが史上7頭めの三冠を達成し、年末には有馬記念も制覇。今年は一時苦しんだものの、先日の凱旋門賞は非常に惜しい競馬での2着と古馬になっても活躍を見せている。ほかにも優勝馬には、05年に三冠を達成したディープインパクトや、ここで素質を開花させ翌春にもG1・2勝を挙げたヒシミラクルといった名前見られる。しかし、同じ3000m級のG1は春の天皇賞しかないこともあってか、この菊花賞が生涯唯一のG1勝ちになる馬もまた多い。今年はどんな馬が勝利を手中にするのか、過去の傾向を振り返ってみたい。
2011年10月菊花賞(G1)

写真:競馬ブック

Check1上位人気よりは4~8番人気あたりに妙味あり

 1番人気は【3.1.2.4】で決して良くはない成績。しかしそれ以上に不振が目立つのは2~3番人気で、2番人気は【0.2.0.8】、そして3番人気は連対すらない【0.0.4.6】。1~3番人気の合計では【3.3.6.18】勝率10.0%、連対率20.0%に終わっている。その一方で4~8番人気は【6.5.2.37】で勝率12.0%、連対率22.0%と、好走馬も多い上に勝率や連対率も上位人気をわずかに上回る。また、9番人気以下からも5頭の好走馬が出ており、02年には2桁人気馬同士の1、2着。人気通りの1~3着になった昨年は珍しい例で、少々穴っぽいところを狙ったほうが的中確率も配当妙味も高いレースだ。

【人気別成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 3-1-2-4 30.0% 40.0% 60.0%
2 0-2-0-8 0.0% 20.0% 20.0%
3 0-0-4-6 0.0% 0.0% 40.0%
4 1-2-0-7 10.0% 30.0% 30.0%
5 1-0-0-9 10.0% 10.0% 10.0%
6 0-2-2-6 0.0% 20.0% 40.0%
7 1-1-0-8 10.0% 20.0% 20.0%
8 3-0-0-7 30.0% 30.0% 30.0%
9 0-0-1-9 0.0% 0.0% 10.0%
10 1-0-0-9 10.0% 10.0% 10.0%
11~ 0-2-1-75 0.0% 2.6% 3.8%
1~3 3-3-6-18 10.0% 20.0% 40.0%
4~8 6-5-2-37 12.0% 22.0% 26.0%

Check2同脚質同士ばかりでは決まらない

 2度の坂越えがある京都競馬場外回りの3000m戦。展開がカギを握る年も多い一方で、同脚質同士の組み合わせばかりを買うと的中からは少々遠のくのが菊花賞の特徴である。表には過去5年分を掲載したが、道中で似たような位置を占めた馬ばかりが1~3着を独占した年は一度もなく、過去10年でみても同様である。唯一09年は3コーナーでは3頭とも近い位置にいたが、レース前半は勝ったスリーロールスが2~3着馬よりやや前に位置していた。展開の読みももちろん重要とはいえ、単純に先行馬同士、差し馬同士ではなく、勝つ馬の動き、2~3着馬の動きなど個々に考える必要があるレースだ

【好走馬の通過順(過去5年)】
馬名 通過順 位置 上がり 人気 着順
07 アサクサキングス 5-5-5-2 35.8 4 1
アルナスライン 6-6-6-5 35.5 6 2
ロックドゥカンブ 11-11-13-14 35.4 1 3
08 オウケンブルースリ 11-12-10-2 34.8 1 1
フローテーション 13-12-13-16 34.6 15 2
ナムラクレセント 3-4-3-2 35.4 9 3
09 スリーロールス 4-3-5-4 最内 35.2 8 1
フォゲッタブル 9-7-9-7 35.0 7 2
セイウンワンダー 8-7-9-7 35.2 6 3
10 ビッグウィーク 3-3-2-2 最内 34.4 7 1
ローズキングダム 13-13-10-10 33.9 1 2
ビートブラック 4-4-3-3 34.4 13 3
11 オルフェーヴル 8-10-6-3 34.6 1 1
ウインバリアシオン 18-18-16-14 34.3 2 2
トーセンラー 11-12-8-6 35.2 3 3

Check34キロ以上の馬体減は減点材料に

 馬体重の増減別の成績を見ると、マイナス4キロ以下だった好走馬は30頭中4頭のみ。04年にはハイアーゲームが3番人気11着、07年には2番人気ドリームジャーニーが5着、そして10年にも2番人気トウカイメロディが6着に敗退するなど、人気馬でも苦戦を強いられている。
 好走した4頭を見ると、三冠馬・ディープインパクト以外の3頭は、前走時に10キロ以上増えていた馬体を減らしてきた形だった。ただ、05年4番人気6着のアドマイヤフジ、06年4番人気7着のマルカシェンクなど、同様の流れで凡走した馬のほうが圧倒的に多い。このパターンは「買い」材料ではなく「可能性はある」という程度に考えたい。

【馬体重増減別成績(過去10年)】
馬体重増減 成績 勝率 連対率 複勝率
+15kg以上 0-0-0-2 0.0% 0.0% 0.0%
+10kg~+14kg 1-1-0-12 7.1% 14.3% 14.3%
+4kg~+9kg 6-2-2-39 12.2% 16.3% 20.4%
-3kg~+3kg 2-6-6-55 2.9% 11.6% 20.3%
-9kg~-4kg 1-1-2-32 2.8% 5.6% 11.1%
-14kg~-10kg 0-0-0-7 0.0% 0.0% 0.0%
-15kg以下 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%
【馬体重4キロ以上減の好走馬(過去10年)】
馬名 人気 着順 馬体重 増減 前走時増減
04 オペラシチー 6 3 500 -8 +10
05 ディープインパクト 1 1 444 -4 ±0
07 ロックドゥカンブ 1 3 500 -4 +12
08 フローテーション 15 2 484 -6 +10

Check4神戸新聞杯組は好走馬を中心に

 前走レース別ではトライアル・神戸新聞杯が【8.6.6.46】連対率21.2%と、好走馬の3分の2を占める。もうひとつのトライアル・セントライト記念は【0.2.2.38】で連対率4.8%止まり。まずは神戸新聞杯組から取捨を考えたいレースだ。
 その神戸新聞杯は阪神外回りコースの新設に伴い、07年から2400m戦になった。その前後で成績を比較すると、02~06年の好走馬11頭のうち、神戸新聞杯でも3着以内だった馬は半数に満たない5頭。一方、07年以降の好走馬9頭では、そのうち7頭が神戸新聞杯3着以内。神戸新聞杯のコース形態や距離が本番に近くなり、4着以下から巻き返せる馬が減ってきている。
 なお、セントライト記念組の4頭は、いずれも前走3着以内の馬。また4頭中3頭は、神戸新聞杯の条件変更があった07年以降で、神戸新聞杯4着以下からの巻き返しが減った分、他の路線にもわずかながらチャンスが増えてきたとも考えられる。このセントライト記念も含め、別路線からの好走馬は02~06年の5年間は好走馬15頭中4頭、07~11年の5年間は15頭中6頭だ。

【前走神戸新聞杯組の好走馬(過去10年)】
馬名 人気 着順 前走
人気
前走
着順
前走
距離
02 ヒシミラクル 10 1 7 6 2000m
メガスターダム 3 3 4 4
03 ザッツザプレンティ 5 1 4 5
リンカーン 4 2 5 4
ネオユニヴァース 1 3 2 3
05 ディープインパクト 1 1 1 1
アドマイヤジャパン 6 2 3 5
ローゼンクロイツ 3 3 6 3
06 ソングオブウインド 8 1 6 3
ドリームパスポート 2 2 3 1
アドマイヤメイン 3 3 2 7
07 アサクサキングス 4 1 5 2 2400m
08 オウケンブルースリ 1 1 2 3
フローテーション 15 2 14 12
ナムラクレセント 9 3 7 6
09 セイウンワンダー 6 3 5 3
10 ビッグウィーク 7 1 5 3
ローズキングダム 1 2 2 1
11 オルフェーヴル 1 1 1 1
ウインバリアシオン 2 2 2 2
【前走セントライト記念組の好走馬(過去10年)】
馬名 人気 着順 前走
人気
前走
着順
04 ホオキパウェーブ 4 2 2 2
07 ロックドゥカンブ 1 3 1 1
09 フォゲッタブル 7 2 7 3
11 トーセンラー 3 3 3 2

第15回 富士ステークス(G3)

10月20日(土) 東京競馬場 芝1600m

 ジャパンカップが創設された81年に、そのトライアル的な意味合いではじまった富士ステークス。何度か条件が変更された後、00年からはマイルCSの前哨戦として、芝1600mで行われるようになった。02年の5着馬トウカイポイントと、昨年の勝ち馬エイシンアポロンが、続くマイルCSを制しており、近年注目度が高まっている重賞レースだ。3連単が発売された8年間のうち、100万を超えるビッグ配当が2回も飛び出しており、穴党ファン必見の。今年も人気のない穴馬が台頭して驚きの結果になるのか。過去10年のデータから傾向を探ってみよう。
2011年10月富士S(G3)

写真:競馬ブック

Check1上位人気は苦戦

 古馬の別定戦は比較的堅い決着になることが多いが、このレースは上位人気馬が苦戦しており、1番人気【3.0.2.5】とイマイチ。2桁人気が6頭も馬券に絡んでいる。
 単勝オッズ別では、2倍台と3倍台がともに連対率33.3%と不振で、それ以外の10倍以下もあまり成績がよくない。10~14.9倍が好成績を残しており、【2.4.2.15】で複勝率34.8%。また、50~99.9倍が【1.1.2.21】で、好走馬を4頭も輩出している。

【人気別成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 3-0-2-5 30.0% 30.0% 50.0%
2 2-2-1-5 20.0% 40.0% 50.0%
3 1-0-0-9 10.0% 10.0% 10.0%
4 2-1-1-6 20.0% 30.0% 40.0%
5 0-1-1-8 0.0% 10.0% 20.0%
6 1-1-1-7 10.0% 20.0% 30.0%
7 0-1-1-8 0.0% 10.0% 20.0%
8 0-1-1-8 0.0% 10.0% 20.0%
9 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
10~ 1-3-2-73 1.3% 5.1% 7.6%
【単勝オッズ別の成績(過去10年)】
単勝オッズ 成績 勝率 連対率 複勝率
2.0~2.9 1-0-0-2 33.3% 33.3% 33.3%
3.0~3.9 1-1-2-2 16.7% 33.3% 66.7%
4.0~4.9 2-1-0-5 25.0% 37.5% 37.5%
5.0~6.9 2-0-1-8 18.2% 18.2% 27.3%
7.0~9.9 1-1-1-12 6.7% 13.3% 20.0%
10.0~14.9 2-4-2-15 8.7% 26.1% 34.8%
15.0~19.9 0-0-1-8 0.0% 0.0% 11.1%
20.0~29.9 0-1-1-15 0.0% 5.9% 11.8%
30.0~49.9 0-1-0-18 0.0% 5.3% 5.3%
50.0~99.9 1-1-2-21 4.0% 8.0% 16.0%
100.0~ 0-0-0-33 0.0% 0.0% 0.0%

Check23歳が不振で、4、5歳が中心

 3歳馬は36頭出走して、勝利したのは07年のマイネルシーガルだた1頭。3歳で1~3番人気に支持された馬は6頭いるが、【0.0.0.6】とすべて人気を裏切っている。中心は4、5歳馬で、連対馬20頭のうち14頭を占めている。高齢になると結果を残せなく傾向だが、7歳馬は05年のウインラディウス、06年のキネティクスと2頭が勝利しており、注意が必要だ。

【年齢別の成績(過去10年)】
年齢 成績 勝率 連対率 複勝率
3歳 1-0-4-31 2.8% 2.8% 13.9%
4歳 3-1-2-13 15.8% 21.1% 31.6%
5歳 4-6-1-32 9.3% 23.3% 25.6%
6歳 0-3-2-32 0.0% 8.1% 13.5%
7歳以上 2-0-1-31 5.9% 5.9% 8.8%

Check3秋のマイル組が結果を残している

 前走はバラエティに富んでおり、さまざまな路線から出走してくる。その中でも注目は、中山のマイルで行われるG3の京成杯AH【3.4.1.21】阪神のオープン特別・ポートアイランドS【3.1.2.18】。この2レースは出走馬と好走馬が多く、中心にしたいところだ。あまり成績がよくないのは安田記念、ダービー、NHKマイルCなどの春に行われるG1。叩き台として使い、凡走する傾向にあるようだ。

【主な前走のレース別成績(過去10年)】
前走レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
京成杯オータムH 3-4-1-21 10.3% 24.1% 27.6%
ポートアイランドS 3-1-2-18 12.5% 16.7% 25.0%
安田記念 1-1-1-10 7.7% 15.4% 23.1%
毎日王冠 1-0-0-3 25.0% 25.0% 25.0%
ダービー卿CT 1-0-0-2 33.3% 33.3% 33.3%
シリウスS 1-0-0-0 100.0% 100.0% 100.0%
オールカマー 0-1-1-2 0.0% 25.0% 50.0%
朝日チャレンジC 0-1-0-0 0.0% 100.0% 100.0%
大阪スポーツ杯(1600万下) 0-1-0-0 0.0% 100.0% 100.0%
京都金杯 0-1-0-0 0.0% 100.0% 100.0%
ダービー 0-0-1-5 0.0% 0.0% 16.7%
ラジオNIKKEI杯 0-0-1-3 0.0% 0.0% 25.0%
朱鷺S 0-0-1-1 0.0% 0.0% 50.0%
名古屋大賞典 0-0-1-0 0.0% 0.0% 100.0%
大原S(1600万下) 0-0-1-0 0.0% 0.0% 100.0%
関屋記念 0-0-0-9 0.0% 0.0% 0.0%
NHKマイルC 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%

Check4前走は富士Sと似た条件が好成績

 前走のクラス別の成績は、富士Sと同じG3が好走馬13頭、オープン特別組が好走馬7頭で、良い結果を残している。逆にG1やG2は、レースの格のわりに凡走する確率が高い
 前走の距離別の成績は、富士Sと同じ距離のマイルが好走馬20頭と多く、複勝率も20.6%で悪くない。距離短縮組の1800mや2000mは、あまり結果を残せておらず疑ったほうがよい

【前走のクラス別成績(過去10年)】
クラス 成績 勝率 連対率 複勝率
1000万下 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%
1600万下 0-1-1-6 0.0% 12.5% 25.0%
オープン特別 3-1-3-30 8.1% 10.8% 18.9%
G3 5-6-2-55 7.4% 16.2% 19.1%
G2 1-1-1-14 5.9% 11.8% 17.6%
G1 1-1-2-26 3.3% 6.7% 13.3%
【前走の距離別の成績(過去10年)】
前走距離 成績 勝率 連対率 複勝率
1200m 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%
1400m 0-0-1-8 0.0% 0.0% 11.1%
1600m 8-8-4-77 8.2% 16.5% 20.6%
1700m 1-0-0-3 25.0% 25.0% 25.0%
1800m 1-0-2-19 4.5% 4.5% 13.6%
1900m 0-0-1-0 0.0% 0.0% 100.0%
2000m 0-1-0-14 0.0% 6.7% 6.7%
2200m 0-1-1-4 0.0% 16.7% 33.3%
2400m 0-0-1-6 0.0% 0.0% 14.3%
2500m 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%
3000m 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%
3200m 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%