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第17回 秋華賞(G1)

9月11日(日) 阪神競馬場 芝1200m

 牝馬三冠への最終関門・秋華賞。95年以前はエリザベス女王杯が3歳(旧表記4歳)限定で行われていたが、女王杯の古馬開放にともない96年にこの秋華賞が3歳限定戦として創設され、今年で17回目になる。エリザベス女王杯時代も含め、メジロラモーヌスティルインラブアパパネと3頭が牝馬三冠を達成。その一方で、テイタニヤマックスビューティベガ、そしてブエナビスタの二冠馬4頭が三冠を逃している。今年はオークス圧勝で二冠を制したジェンティルドンナが史上4頭目の牝馬三冠達成となるのか、それともライバルが意地を見せるのか。過去の傾向を振り返ってみたい。
2011年9月セントウルステークス(G2)

写真:競馬ブック

Check11、2番人気が過去10年で計9勝

 過去10年、1~2番人気が合わせて【9.2.4.5】で、3番人気以下の勝ち馬は08年・ブラックエンブレム(11番人気)1頭のみ。2~3着には人気薄の好走も多く見られるものの、勝ち馬はほとんど1~2番人気馬が占めている。特に、2番人気が【7.0.1.2】で勝率70.0%の好成績。また、1番人気も【2.2.3.3】で複勝率70.0%と安定した成績は残している。
 その1番人気馬の成績を見ると、馬券圏外に敗退した3頭に共通するのは、春二冠とも出走し、どちらか一方で連対、一方では連対を外していたこと。二冠とも連対していた馬や、逆にどちらも連対を外していた馬、そして不出走のレースがあった馬などは悪くとも馬券圏内は確保している。今年、恐らくジェンティルドンナが1番人気に推されるだろうが、二冠を制している馬なら好走パターンのほうに入る。ただ、あくまで「3着以内」の好走パターンで、目標とする「1着」の確率はさほど高くないという1番人気の成績だ。

【人気別成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 2-2-3-3 20.0% 40.0% 70.0%
2 7-0-1-2 70.0% 70.0% 80.0%
3 0-2-0-8 0.0% 20.0% 20.0%
4 0-0-1-9 0.0% 0.0% 10.0%
5 0-2-1-7 0.0% 20.0% 30.0%
6 0-1-0-9 0.0% 10.0% 10.0%
7 0-2-1-7 0.0% 20.0% 30.0%
8 0-1-1-8 0.0% 10.0% 20.0%
9 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
10 0-0-1-9 0.0% 0.0% 10.0%
11~ 1-0-1-78 1.3% 1.3% 2.5%
【1番人気馬の成績(過去10年)】
馬名 人気 着順 桜花賞 オークス ローズS
02 ファインモーション 1 1 不出走 不出走 1
03 アドマイヤグルーヴ 1 2 3 7 1
04 ダンスインザムード 1 4 1 4 不出走
05 ラインクラフト 1 2 1 不出走 2
06 アドマイヤキッス 1 4 2 4 1
07 ウオッカ 1 3 2 不出走 不出走
08 トールポピー 1 10 8 1 6
09 ブエナビスタ 1 3 1 1 不出走
10 アパパネ 1 1 1 1 4
11 ホエールキャプチャ 1 3 2 3 1

Check2桜花賞またはオークス連対の2番人気馬は好成績

 今年は桜花賞、オークスともにジェンティルドンナ→ヴィルシーナの1、2着。そして今回も恐らく、この2頭が1、2番人気に推されることが予想される。そこで春二冠の連対馬について、このレースの人気別の成績も調べてみた。
 もともと全馬対象(Check1)でも好成績だった2番人気馬だが、オークス連対馬が2番人気に推されると、このレースでは過去10年なんと5戦全勝。そして桜花賞連対馬の2番人気も【3.0.0.1】と5頭中4頭が優勝している。Check1の2番人気全馬の連対率は70.0%だったが、桜花賞連対馬にかぎれば75.0%、オークス連対馬なら100%と、さらに信頼性は高くなる。
 その一方で、桜花賞連対馬の1番人気は【1.1.3.2】で連対率28.6%、オークス連対馬の1番人気は【1.0.1.1】で同33.3%。こちらはともにCheck1の連対率40.0%を下回ってしまっており、この1番人気馬に関しては2番人気と違い、春の実績が強調材料とはなっていない。

【桜花賞連対馬の人気別成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 1-1-3-2 14.3% 28.6% 71.4%
2 3-0-0-1 75.0% 75.0% 75.0%
3~ 0-0-0-6 0.0% 0.0% 0.0%
【オークス連対馬の人気別成績】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 1-0-1-1 33.3% 33.3% 66.7%
2 5-0-0-0 100.0% 100.0% 100.0%
3~ 0-0-1-8 0.0% 0.0% 11.1%

Check3小回りでも差し馬優勢

 直線の短い京都内回りコースの芝2000mを舞台に行われる秋華賞。過去には有力馬が不利を受けたり、展開を味方につけて思わぬ馬が勝利をものにしたケースも見られる。ただ、競馬道GT8で過去10年の脚質成績を見ると、「差し」に分類された馬が【7.9.7.79】で好走馬の3分の2以上を占めている。該当する馬も多いため好走確率こそ群を抜いているわけではないが、それでも連対率15.7%、複勝率22.5%はいずれも他に差をつけてトップの数字だ。
 これは人気薄についても同様で、6番人気以下の好走馬9頭中6頭は向正面4~8番手。人気薄でも好位から中団の前あたりを取った馬の好走が多く、9番手以下の2頭も12~13番手だった。過去には99年のブゼンキャンドル→クロックワークのような道中ほぼ最後方からの追い込み馬同士、あるいは00年ティコティコタック→ヤマカツスズランの逃げ・先行馬同士での波乱も見られたが、近年はそこまで極端な結果は見られていない

【脚質成績(過去10年)】
脚質 成績 勝率 連対率 複勝率
逃げ 0-0-1-8 0.0% 0.0% 11.1%
先行 2-1-1-24 7.1% 10.7% 14.3%
差し 7-9-7-79 6.9% 15.7% 22.5%
追込 1-0-1-39 2.4% 2.4% 4.9%
【6番人気以下の好走馬(過去10年)】
馬名 通過順 位置 人気 着順
02 シアリアスバイオ 5-7-7-7 7 3
03 ヤマカツリリー 4-4-3-3 8 3
04 ウイングレット 6-8-9-7 最内 10 3
07 レインダンス 7-6-4-4 7 2
08 ブラックエンブレム 6-7-8-7 最内 11 1
ムードインディゴ 12-13-11-11 8 2
プロヴィナージュ 2-1-1-1 最内 16 3
10 アニメイトバイオ 10-12-12-12 6 2
11 キョウワジャンヌ 6-6-5-3 7 2

Check4ローズS組は2頭まで!?

 前走レース別の成績では、ローズS出走馬が【8.8.3.54】と好走馬のほぼ3分の2。ほかにはクイーンS【1.1.2.6】が目立つ程度で、複数の好走馬(3着以内)を出しているレースは、この2レースのみである。
 特に好走馬の多いローズS組を見ると、秋華賞での人気はかなりバラバラだが、好走馬19頭中18頭がローズSでは5番人気以内。そして同じく19頭中16頭が3着以内で、4着以下だった3頭中2頭は春の二冠馬。今年の二冠馬・ジェンティルドンナはローズSも制していることから、今年のローズS組はほぼ上位3頭に狙いは絞られる。
 ただ、これだけローズS組の好走馬が多いにも関わらず、1~3着を独占したのは03年の1回のみ。逆に1頭も連対を果たせなかった年もなく、1頭だった年も04、06年の2回だけ。過去10年のうち7回はローズS組2頭+別路線組1頭で決着している

【前走ローズS組の成績(過去10年)】
馬名 人気 着順 ローズS
人気
ローズS
着順
02 ファインモーション 1 1 1 1
サクラヴィクトリア 3 2 3 2
03 スティルインラブ 2 1 1 5
アドマイヤグルーヴ 1 2 2 1
ヤマカツリリー 8 3 5 2
04 スイープトウショウ 2 1 2 3
05 エアメサイア 2 1 2 1
ラインクラフト 1 2 1 2
06 フサイチパンドラ 4 3 2 3
07 ダイワスカーレット 2 1 1 1
レインダンス 7 2 3 3
08 ブラックエンブレム 11 1 4 15
ムードインディゴ 8 2 9 2
09 レッドディザイア 2 1 1 2
ブロードストリート 3 2 5 1
10 アパパネ 1 1 1 4
アニメイトバイオ 6 2 4 1
11 キョウワジャンヌ 7 2 7 3
ホエールキャプチャ 1 3 1 1

第59回 府中牝馬ステークス(G2)

10月13日(土) 東京競馬場 芝1800m

 エリザベス女王杯のステップレース、府中牝馬ステークス。このレースの優勝馬のうちエリザベス女王杯も制したのは98年のメジロドーベルが最後で、それ以降は出ていない。最近10年では08年の勝ち馬ブルーメンブラットが、続くマイルチャンピオンシップに勝利してG1馬となった。このレースを使ってエリザベス女王杯に挑んだ馬は、02年ダイヤモンドビコー、04、05年オースミハルカ、08年カワカミプリンセスがいずれも2着と好走した。そんな府中牝馬ステークスの傾向を探ってみる。
2011年10月府中牝馬S(G2)

写真:競馬ブック

Check1単勝4、5番人気が狙い目

 1番人気は【3.2.2.3】とまずまずだが、2、3番人気はイマイチで上位人気はそれほど信頼できない。4、5番人気がトータル5勝と好成績を残している。オッズ別では、単勝7.0~9.9倍が【3.3.3.4】とハイアベレージで、このあたりが狙い目。
 これまで人気薄が来ることはなかったが、09年にレジネッタ(11番人気、単勝46.5倍)が3着、10年にセラフィックロンプ(14番人気、単勝61.7倍)が2着と、最近はノーマークの馬が激走する傾向にある

【人気別成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 3-2-2-3 30.0% 50.0% 70.0%
2 1-0-3-6 10.0% 10.0% 40.0%
3 0-3-2-5 0.0% 30.0% 50.0%
4 3-2-1-4 30.0% 50.0% 60.0%
5 2-1-1-6 20.0% 30.0% 40.0%
6 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
7 1-1-0-8 10.0% 20.0% 20.0%
8 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
9 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
10~ 0-1-1-67 0.0% 1.4% 2.9%
【オッズ別の成績(過去10年)】
オッズ 成績 勝率 連対率 複勝率
2.0~2.9 2-2-2-1 28.6% 57.1% 85.7%
3.0~3.9 1-0-0-1 50.0% 50.0% 50.0%
4.0~4.9 1-1-2-4 12.5% 25.0% 50.0%
5.0~6.9 1-1-1-10 7.7% 15.4% 23.1%
7.0~9.9 3-3-3-4 23.1% 46.2% 69.2%
10.0~14.9 1-1-1-12 6.7% 13.3% 20.0%
15.0~19.9 1-1-0-7 11.1% 22.2% 22.2%
20.0~29.9 0-0-0-13 0.0% 0.0% 0.0%
30.0~49.9 0-0-1-22 0.0% 0.0% 4.3%
50.0~99.9 0-1-0-25 0.0% 3.8% 3.8%
100.0~ 0-0-0-30 0.0% 0.0% 0.0%

Check24、5歳馬が圧倒的

 年齢別の成績では、4歳と5歳が圧倒的で、馬券圏内30頭のうち28頭を占めている。6歳以上は苦戦しており、好走したのは10年2着のセラフィックロンプのみ。3歳馬は同じ時期に秋華賞があるので、ほとんどこのレースには参戦してこない。

【年齢別成績(過去10年)】
年齢 成績 勝率 連対率 複勝率
3歳 0-0-1-2 0.0% 0.0% 33.3%
4歳 6-4-7-46 9.5% 15.9% 27.0%
5歳 4-5-2-49 6.7% 15.0% 18.3%
6歳 0-1-0-22 0.0% 4.3% 4.3%
7歳以上 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%

Check3クイーンS組の4歳馬が強い

 前走はクイーンSを使った馬が強く、出走馬、好走馬共に多い。クイーンS組の内訳では4歳馬が【4.2.2.5】で連対率46.2%、複勝率53.3%と高いのに対して、5歳馬は【1.0.0.13】と結果を残せていない。それ以外のレースでは芝2000mの重賞である小倉記念と新潟記念が複数の連対馬を輩出している。

【主な前走レース別の成績(過去10年)】
前走 成績 勝率 連対率 複勝率
クイーンS 5-2-2-22 16.1% 22.6% 29.0%
小倉記念 1-1-0-2 25.0% 50.0% 50.0%
新潟記念 1-1-0-8 10.0% 20.0% 20.0%
ヴィクトリアマイル 1-0-0-6 14.3% 14.3% 14.3%
目黒記念 1-0-0-1 50.0% 50.0% 50.0%
西宮S(1600万下) 1-0-0-0 100.0% 100.0% 100.0%
マーメイドS 0-1-2-9 0.0% 8.3% 25.0%
ポートア 0-1-1-3 0.0% 20.0% 40.0%
ポートアイランドS 0-1-1-4 0.0% 16.7% 33.3%
関屋記念 0-1-0-1 0.0% 50.0% 50.0%
福島テレビ杯 0-1-0-0 0.0% 100.0% 100.0%
金鯱賞 0-1-0-0 0.0% 100.0% 100.0%
オールカマー 0-0-1-2 0.0% 0.0% 33.3%
福島牝馬S 0-0-1-2 0.0% 0.0% 33.3%
三面川特別(1000万下) 0-0-1-2 0.0% 0.0% 33.3%
北九州記念 0-0-1-0 0.0% 0.0% 100.0%

Check4関西馬が強いが1番人気は危険

 関東地区の東京競馬場で行われる府中牝馬Sだが、栗東所属の関西馬が好成績を残している。出走馬が関東69、関西89に対して、好走馬が関東9、関西21。最近は2年連続で関東馬の1番人気が着外に敗れているが、ここ10年の1番人気は関東【3.1.0.2】に対して、関西【0.1.2.1】と関東馬が強い

【所属別の成績(過去10年)】
所属 成績 勝率 連対率 複勝率
美浦 3-4-2-60 4.3% 10.1% 13.0%
栗東 7-6-8-68 7.9% 14.6% 23.6%
地方 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%