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第60回 神戸新聞杯(G2)

9月23日(日)阪神競馬場 芝2400m

 菊花賞トライアル・神戸新聞杯。90年代までは菊花賞の最重要前哨戦といえば京都新聞杯だったが、00年の菊花賞施行時期繰り上げとともに、その京都新聞杯は春に移動。以来、神戸新聞杯が関西唯一のトライアル競走となり、多くの春の実績馬がここで秋初戦を迎え、菊花賞へと駒を進めている。芝2000mで行われていた時代にはディープインパクト(05年)、そして07年の距離延長後にはオルフェーヴル(11年)が、このレースをステップに菊花賞で三冠を達成過去10年で8頭の菊花賞馬がこのレースの出走馬から誕生しており、本番へ向けて注目の欠かせない重賞レースだ。そんな神戸新聞杯の傾向を見てみよう。
2011年9月神戸新聞杯(G2)

写真:競馬ブック

Check1連対馬20頭中17頭が3番人気以内

 人気別では、1~3番人気合計で【9.8.5.8】連対率56.7%、複勝率73.3%の好成績。連対馬20頭中17頭が3番人気以内、同19頭が5番人気以内から出ており、基本的には人気馬が中心になるレースだ。
 特に1番人気は【5.3.0.2】で連対率80.0%と安定した成績だが、その1番人気馬の前走を見ると、好走した8頭中7頭がダービー連対馬で、残る1頭・サクラプレジデントは札幌記念優勝馬(前々走ダービー7着)。一方でダービー7着のフサイチホウオーは12着に、そしてダービー12着のアンライバルドは4着と、ダービー3着以下から直行した1番人気馬は馬券圏外に敗退している。
 今年はダービー馬・ディープブリランテが海外遠征後に放牧、ダービー2着のフェノーメノはセントライト記念に出走で、ダービー連対馬は不在。もしダービー3着以下からの直行馬が1番人気に推されるようなら、今年の1番人気は危険かもしれない。

【人気別成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 5-3-0-2 50.0% 80.0% 80.0%
2 1-2-4-3 10.0% 30.0% 70.0%
3 3-3-1-3 30.0% 60.0% 70.0%
4 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
5 0-2-2-6 0.0% 20.0% 40.0%
6 0-0-2-8 0.0% 0.0% 20.0%
7 1-0-0-9 10.0% 10.0% 10.0%
8 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
9 0-0-0-9 0.0% 0.0% 0.0%
10 0-0-0-9 0.0% 0.0% 0.0%
11~ 0-0-1-37 0.0% 0.0% 2.6%
【1番人気馬の成績と前走(過去10年)】
馬名 着順 前走 人気 着順
02 シンボリクリスエス 1 ダービー 3 2
03 サクラプレジデント 2 札幌記念 2 1
04 キングカメハメハ 1 ダービー 1 1
05 ディープインパクト 1 ダービー 1 1
06 メイショウサムソン 2 ダービー 1 1
07 フサイチホウオー 12 ダービー 1 7
08 ディープスカイ 1 ダービー 1 1
09 アンライバルド 4 ダービー 1 12
10 エイシンフラッシュ 2 ダービー 7 1
11 オルフェーヴル 1 ダービー 1 1

Check2ダービー上位人気馬以外なら5着以内馬

 ダービーと神戸新聞杯が同距離になった07年以降の過去5年、3着以内馬15頭中11頭はダービー出走馬(直行以外も含む)。Check1では1番人気馬についてのみ触れたが、人気を問わずダービー出走馬の取捨はカギになる。その11頭の共通点を探ると、9頭までがダービーで掲示板(5着以内)に載っていた馬。特にダービー最先着馬は5頭すべて連対している。残る2頭、9着だったヴィクトリーはダービー2番人気、13着だったセイウンワンダーはダービーで3番人気に推されており、ダービー着外馬なら、上位人気で凡走した馬が巻き返す形になっている。ダービーで4番人気以下、かつ6着以下という馬はここ5年好走がない

【同年のダービーに出走していた1~3着馬(過去5年)】
馬名 人気 着順 ダービー人気 ダービー着順 備考
07 ドリームジャーニー 3 1 8 5
アサクサキングス 5 2 14 2 ダービー最先着馬
ヴィクトリー 2 3 2 9
08 ディープスカイ 1 1 1 1 ダービー最先着馬
ブラックシェル 3 2 6 3
09 リーチザクラウン 3 2 5 2 ダービー最先着馬
セイウンワンダー 5 3 3 13
10 ローズキングダム 2 1 5 2
エイシンフラッシュ 1 2 7 1 ダービー最先着馬
11 オルフェーヴル 1 1 1 1 ダービー最先着馬
ウインバリアシオン 2 2 10 2

Check3皐月賞の成績はアテにならない?

 今年はダービー1、2着馬が不在ということもあり、皐月賞出走馬の成績も調べてみた。すると、皐月賞とは距離に加えコース形態もかなり異なる上、ダービーよりも前のレースということもあって、皐月賞の成績はあまりアテにはならないようだ。このレースで3着以内に入った皐月賞出走馬は5年で9頭。そのうち半数を超す5頭が皐月賞馬券圏外で、4頭は6着以下。11頭中9頭が掲示板に載っていたダービーとはかなり様相が異なっている。また、皐月賞最先着馬は09年のアンライバルド(1番人気4着)を除く4頭が馬券に絡んでいるが、勝ったのは皐月賞が東京開催だった昨年のオルフェーヴル1頭のみ。中山の皐月賞最先着馬にかぎれば【0.2.1.1】で、ダービー最先着馬【2.3.0.0】に比べると分が悪い。

【同年の皐月賞に出走していた1~3着馬(過去5年)】
馬名 人気 着順 皐月賞人気 皐月賞着順 備考
07 ドリームジャーニー 3 1 3 8
アサクサキングス 5 2 6 7
ヴィクトリー 2 3 7 1 皐月賞最先着馬
08 ブラックシェル 3 2 2 6 皐月賞最先着馬
09 リーチザクラウン 3 2 2 13
セイウンワンダー 5 3 4 3
10 ローズキングダム 2 1 2 4
エイシンフラッシュ 1 2 11 3 皐月賞最先着馬
11 オルフェーヴル 1 1 4 1 皐月賞最先着馬(東京)

Check4意外に重要な阪神芝勝利実績

 春の阪神開催時は中山で皐月賞トライアルが2鞍あり、ローテーションによっては阪神コース未経験だったり、実績のないままこのレースに駒を進めてくる馬も見られる。しかしコース実績は意外に重要で、過去5年の3着以内馬15頭中11頭は阪神芝コースで勝利実績を持つ馬だった。未勝利戦や2歳戦などその内容は問われず、どんな条件であっても阪神芝コースで勝っていることがポイントだ。

【好走馬の阪神芝成績(過去5年)】
馬名 人気 着順 阪神芝成績 阪神芝実績
07 ドリームジャーニー 3 1 未経験
アサクサキングス 5 2 0-0-0-2 ラジオNIKKEI杯5着
ヴィクトリー 2 3 1-1-0-0 若葉S1着
08 ディープスカイ 1 1 1-0-1-0 毎日杯1着
ブラックシェル 3 2 1-0-0-0 未勝利戦1着
オウケンブルースリ 2 3 1-0-0-0 500万特別1着
09 イコピコ 7 1 1-0-0-0 500万1着
リーチザクラウン 3 2 1-1-0-0 ラジオNIKKEI杯2着(500万1着)
セイウンワンダー 5 3 1-1-0-0 未勝利戦1着
10 ローズキングダム 2 1 未経験
エイシンフラッシュ 1 2 1-0-0-1 500万特別1着
ビッグウィーク 5 3 1-1-0-1 未勝利戦1着
11 オルフェーヴル 1 1 1-0-0-0 スプリングS(代替開催)1着
ウインバリアシオン 2 2 1-0-0-1 野路菊S1着
フレールジャック 3 3 未経験

Check4先行型は好走しても2~3着

 外回り2400mで行われた過去5回、好走した各馬の通過順を見ると、3着以内の15頭中11頭は3コーナーを5番手以下で通過。特に優勝馬に関しては5頭すべてが3コーナー5番手以下で、前々で勝負した馬は好走しても2~3着までに終わっている。このくらいの距離、そして人気馬に差し馬が多いレースになると「先行型の穴馬」をつい狙いたくなるものだが、このレースの好走馬は差し馬が中心であり、そもそも人気薄の好走も多くはない(Check1)。この過去5回では6番人気以下の好走馬は1頭だけで、そのイコピコ(09年、7番人気)も道中9番手から直線で外に出して鮮やかな差し切り勝ちだった。

【好走馬の通過順と上がり(過去5年)】
馬名 人気 着順 通過順 位置 上がり
07 ドリームジャーニー 3 1 14-14-14-12 大外 34.5
アサクサキングス 5 2 4-4-3-2 35.4
ヴィクトリー 2 3 5-5-5-5 35.4
08 ディープスカイ 1 1 7-8-5-5 35.1
ブラックシェル 3 2 10-11-9-10 34.7
オウケンブルースリ 2 3 16-16-16-13 34.5
09 イコピコ 7 1 9-9-9-9 33.7
リーチザクラウン 3 2 1-1-1-1 最内 34.8
セイウンワンダー 5 3 5-4-4-3 34.7
10 ローズキングダム 2 1 4-5-5-6 33.3
エイシンフラッシュ 1 2 6-7-5-6 33.3
ビッグウィーク 5 3 1-1-3-3 最内 34.1
11 オルフェーヴル 1 1 5-5-5-5 32.8
ウインバリアシオン 2 2 7-7-7-5 大外 33.2
フレールジャック 3 3 8-8-7-7 33.3

第58回 オールカマー(G2)

9月23日(日) 中山競馬場 芝2200m

 レース名の意味の通り、外国馬や地方所属馬など、さまざまなカテゴリから挑戦者を受け入れている重賞レース、オールカマー。かつては、地方所属馬にとってジャパンカップ出走をかけたレースとして行われ、86年にジュサブロー(愛知)、91年にジョージモナーク(大井)が勝利を収め、ジャパンカップに挑んだ。歴代の勝ち馬にはオグリキャップビワハヤヒデヒシアマゾンサクラローレルなどの名馬がいる。
 最近では07年の有馬記念馬マツリダゴッホが、07~09年にかけて3連覇を達成。09年に有馬記念と宝塚記念を制したドリームジャーニーが2年連続2着。昨年は宝塚記念を勝ったアーネストリーが勝利している。そんなオールカマーの傾向を振り返る。
2011年9月オールカマー(G2)

写真:競馬ブック

Check11、2着は上位人気馬

 1番人気は【4.2.0.4】と信頼できる数字を残しており、2、3番人気も悪くなく、上位人気が安定している。連対馬は20頭中19頭が1~6番人気だが、3着馬は10頭中7頭が6~9番人気。1、2着を上位人気にして、3着を穴馬にする買い方が面白いかも。

【人気別成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 4-2-0-4 40.0% 60.0% 60.0%
2 1-2-2-5 10.0% 30.0% 50.0%
3 1-2-1-6 10.0% 30.0% 40.0%
4 2-1-0-7 20.0% 30.0% 30.0%
5 1-1-0-8 10.0% 20.0% 20.0%
6 0-2-3-5 0.0% 20.0% 50.0%
7 0-0-2-8 0.0% 0.0% 20.0%
8 0-0-1-9 0.0% 0.0% 10.0%
9 1-0-1-8 10.0% 10.0% 20.0%
10~ 0-0-0-31 0.0% 0.0% 0.0%

Check2人気の3歳馬は危険

 年齢別の成績では、6歳馬が好調だ。連対馬7頭、馬券圏内10頭と最も活躍馬を多く輩出している。7歳以上の高齢馬は好走馬が5頭おり、人気は7、4、7、6、5。比較的人気薄が活躍している。
 また、3歳馬は苦戦する傾向にある。5頭出走して、4頭が1~3番人気に支持されたが、すべて馬券圏外に敗れている。

【年齢別成績(過去10年)】
年齢 成績 勝率 連対率 複勝率
3歳 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%
4歳 2-2-3-12 10.5% 21.1% 36.8%
5歳 2-5-1-26 5.9% 20.6% 23.5%
6歳 4-3-3-22 12.5% 21.9% 31.3%
7歳上 2-0-3-26 6.5% 6.5% 16.1%
【3歳馬の成績(過去10年)】
日付 馬名 人気 着順 前走 前走
人気
前走
着順
02 シアトルリーダー 10 13 支笏湖
特別
2 1
04 ハイアーゲーム 1 4 ダービー 3 3
04 ダイワメジャー 2 9 ダービー 4 6
07 サンツェッペリン 2 9 ダービー 9 4
11 マイネルラクリマ 3 6 ラジオ
NIKKEI賞
3 2

Check3札幌記念、宝塚記念好走組が強い

 前走のレース別成績では、札幌記念、新潟記念、宝塚記念の3レースがよい結果を残している。中でも札幌記念【5.1.2.5】と宝塚記念【2.3.1.3】は複勝率が共に60%を超えており、出走してきた場合は要注意だ。この2レースから凡走するケースは、前走も凡走していた場合がほとんど。凡走した8頭のうち、6頭が前走が4着以下に敗れていた。

【主な前走のレース別成績(過去10年)】
前走レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
札幌記念 5-1-2-5 38.5% 46.2% 61.5%
宝塚記念 2-3-1-3 22.2% 55.6% 66.7%
新潟記念 1-3-2-20 3.8% 15.4% 23.1%
小倉記念 1-0-0-1 50.0% 50.0% 50.0%
天皇賞秋 1-0-0-0 100.0% 100.0% 100.0%
札幌日経オープン 0-1-0-7 0.0% 12.5% 12.5%
天皇賞春 0-1-0-2 0.0% 33.3% 33.3%
キーンランドC 0-1-0-0 0.0% 100.0% 100.0%
エプソムC 0-0-1-4 0.0% 0.0% 20.0%
クイーンS 0-0-1-2 0.0% 0.0% 33.3%
ブリーダーズGC 0-0-1-1 0.0% 0.0% 50.0%
みなみ北海道S 0-0-1-3 0.0% 0.0% 25.0%
ヴィクトリアマイル 0-0-1-0 0.0% 0.0% 100.0%
目黒記念 0-0-0-6 0.0% 0.0% 0.0%
東京優駿G1 0-0-0-3 0.0% 0.0% 0.0%

Check4中山芝2200mマイスターに注目

 中山2200mはコース形態が独特なため、得意な馬と不得意な馬にはっきりと分かれる。そのため、リピーターが多く、2回以上出走して3着以内に入ったことがある馬が7頭いる。とくに07年以降は、前年好走した馬が再度好走するケースが目立っている。

【2回以上出走して3着以内に好走した馬(過去10年)】
1年目 2年目 3年目
ウインジェネラーレ 04年3着 06年6着
グラスボンバー   05年2着 09年9着
マツリダゴッホ   07年1着 08年1着 09年1着
エリモハリアー   07年3着 08年6着
トウショウシロッコ 08年3着 09年4着 10年3着
ドリームジャーニー 09年2着 10年2着
シンゲン      09年3着 10年1着