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第7回 ヴィクトリアマイル(G1)

5月13日(日)東京競馬場 芝1600m

 今週の注目重賞レースは、春の古馬女王決定戦・ヴィクトリアマイル。96年に古馬へと開放された秋のエリザベス女王杯から遅れること10年、春競馬における古牝馬の頂上決戦として06年に創設され、今年で7回目を迎える。舞台は東京競馬場の芝1600m、そしてレース名もヴィクトリア「マイル」だが、優勝馬には第1回のダンスインザムードを皮切りに、ウオッカ、ブエナビスタ、アパパネといった名牝が名を連ねており、マイルの距離にとどまらない、事実上の「春の女王決定戦」といった様相で行われている。今年はどの馬が女王の座に就くのか、過去の傾向を振り返ってみたい。
2011年5月ヴィクトリアマイル(G1)

写真:競馬ブック

Check11番人気の信頼性は?

 これまで6回行われており、1番人気は【2.2.0.2】で連対率66.7%。見た目の数字上は安定した成績を残している。ただ、その1番人気馬の内訳を見ると、ラインクラフト(桜花賞、NHKマイルC)やカワカミプリンセス(オークス、秋華賞)といった実力馬が着外に敗退。また、連対こそ確保したとはいえ、08年のウオッカは単勝2.1倍、そして昨年のブエナビスタに至っては単勝1.5倍の2着では、どちらかといえば「人気を裏切った」という印象すらある。「1番人気の連対率66.7%」というより、「ウオッカやブエナビスタでも負けたレース」と捕らえる方が良いかもしれない。

【人気別成績(過去6年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 2-2-0-2 33.3% 66.7% 66.7%
2 2-0-0-4 33.3% 33.3% 33.3%
3 0-1-1-4 0.0% 16.7% 33.3%
4 0-0-2-4 0.0% 0.0% 33.3%
5 1-0-0-5 16.7% 16.7% 16.7%
6 0-0-0-6 0.0% 0.0% 0.0%
7 0-0-1-5 0.0% 0.0% 16.7%
8 0-1-1-4 0.0% 16.7% 33.3%
9 0-1-0-5 0.0% 16.7% 16.7%
10 0-0-0-6 0.0% 0.0% 0.0%
11 0-1-1-4 0.0% 16.7% 33.3%
12 1-0-0-5 16.7% 16.7% 16.7%
13~ 0-0-0-35 0.0% 0.0% 0.0%
【1番人気馬の成績】
馬名 着順 単オッズ 前走
06 ラインクラフト 9 2.4 阪神牝馬S1着
07 カワカミ
プリンセス
10 2.1 女王杯1位→12着降着
08 ウオッカ 2 2.1 ドバイデューティーフリー4着
09 ウオッカ 1 1.7 ドバイデューティーフリー7着
10 ブエナビスタ 1 1.5 ドバイシーマクラシック2着
11 ブエナビスタ 2 1.5 ドバイワールドC8着

Check2人気薄ならG1実績馬か近走1着馬

 6番人気は好走例がなく、人気薄では7番人気以下が3着以内に計7頭。06、08、11年は5番人気以内の馬が3着以内を独占していたが、残る3回は7番人気以下から2頭以上が馬券圏内に食い込んでいる。人気馬同士で買い目を絞るか、逆に人気薄を拾うなら穴馬2頭以上が絡む組み合わせがおもしろい
 その人気薄7頭の近走成績やG1実績をみると、3頭は前走1着馬。残る4頭中3頭はG1で3着以内に好走した実績を持っていた。そしてG1実績がなく、前走でも負けていたヒカルアマランサスは、前々走の京都牝馬Sで優勝。人気薄の好走条件をまとめると「近2走以内で1着、またはG1で3着以内の実績馬」となる。

【7番人気以下の好走馬】
馬名 人気 着順 前走 G1実績
07 コイウタ 12 1 ダービー卿2着 桜花賞3着
07 アサヒライジング 9 2 阪神牝馬S8着 秋華賞2着
07 デアリングハート 8 3 ダービー卿6着 NHKマイル3着
09 ブラボーデイジー 11 2 福島牝馬S1着 未経験
09 ショウナンラノビア 7 3 卯月S1着 未経験
10 ヒカルアマランサス 8 2 阪神牝馬S13着 未経験
10 ニシノブルームーン 11 3 中山牝馬S1着 女王杯10着

Check34歳優勢、5歳以上の連対は人気馬のみ

 年齢別では4歳が【4.5.2.48】連対率15.3%でトップ。5歳は【2.1.2.20】で、連対率12.0%と4歳に劣るが、勝率や複勝率では5歳が4歳を上回る。そして6歳は3着まで、7歳以上は好走がない。
 よって、年齢からの注目は4~5歳になるが、5歳で連対した3頭はいずれも1~2番人気馬。4歳は12番人気コイウタの優勝や、11番人気ブラボーデイジーの2着などがあり、人気薄に連対を期待するなら4歳馬となる。なお、5歳以上の人気薄でも3着なら可能性は残されている。

【年齢別成績(過去6年)】
年齢 成績 勝率 連対率 複勝率
4歳 4-5-2-48 6.8% 15.3% 18.6%
5歳 2-1-2-20 8.0% 12.0% 20.0%
6歳 0-0-2-14 0.0% 0.0% 12.5%
7歳~ 0-0-0-7 0.0% 0.0% 0.0%
【連対馬一覧(年齢別)】
年齢 馬名 人気 着順
4歳 06 エアメサイア 3 2
07 コイウタ 12 1
07 アサヒライジング 9 2
08 エイジアンウインズ 5 1
08 ウオッカ 1 2
09 ブラボーデイジー 11 2
10 ブエナビスタ 1 1
10 ヒカルアマランサス 8 2
11 アパパネ 2 1
5歳 06 ダンスインザムード 2 1
09 ウオッカ 1 1
11 ブエナビスタ 1 2

Check4東京芝経験があれば1600万以上で連対

 好走馬の18頭中15頭は東京芝コースでの連対実績馬。残る3頭はすべて東京芝未経験で、「東京芝の経験があって連対はない」という馬は過去6年好走がない。また、連対実績を持つ15頭を見ると、過半数が重賞で連対しており、悪くても1600万条件で2着には入っていた。未勝利~1000万ではなく、1600万条件以上で好走していることが必要だ。

【好走馬の東京芝実績】
馬名 人気 着順 東京芝成績 東京芝主な実績
06 ダンスインザムード 2 1 0-1-1-4 天皇賞(秋)2着
06 エアメサイア 3 2 0-1-0-0 オークス2着
06 ディアデラノビア 4 3 1-0-1-0 フローラS1着
07 コイウタ 12 1 1-1-1-1 クイーンC1着
07 アサヒライジング 9 2 1-1-1-0 クイーンC2着
07 デアリングハート 8 3 1-1-0-2 府中牝馬S1着
08 エイジアンウインズ 5 1 未経験 未経験
08 ウオッカ 1 2 1-0-0-1 ダービー1着
08 ブルーメンブラット 4 3 2-0-1-2 オーロC1着
09 ウオッカ 1 1 3-2-1-1 天皇賞(秋)1着
09 ブラボーデイジー 11 2 未経験 未経験
09 ショウナンラノビア 7 3 未経験 未経験
10 ブエナビスタ 1 1 1-0-0-0 オークス1着
10 ヒカルアマランサス 8 2 0-1-0-0 ユートピアS2着
10 ニシノブルームーン 11 3 1-1-1-1 府中S1着
11 アパパネ 2 1 3-0-0-0 オークス1着
11 ブエナビスタ 1 2 3-1-0-0 天皇賞(秋)1着
11 レディアルバローザ 3 3 0-2-0-1 ユートピアS2着

第57回 京王杯スプリングカップ(G2)

5月12日(土) 東京競馬場 芝1400m

 安田記念のステップレースである京王杯SC。距離が1400mで行われるためか、マイラーとスプリンターのトップクラスが参戦し、さらに安田記念の叩き台としてレースに臨む馬も多く、毎年一筋縄ではいかない重賞レースとなっている。最近10年では、05年に優勝したアサクサデンエンが、続く安田記念を制して春のマイル王に輝いている。また、02年4着のダンツフレーム、04年2着のテレグノシス、11年2着のストロングリターンの3頭が、安田記念で2着と好走している。そんな京王杯SCの傾向を、過去10年のデータからひも解いていく。
2010年5月京王杯スプリングカップ(G2)

写真:競馬ブック

Check1単勝5、6倍台前後が好成績

 1番人気は【0.0.1.9】と壊滅的だが、2番人気は【2.0.4.4】とまずまず。4番人気が【1.0.0.9】で、上位人気の安定度はイマイチで荒れそうな感じがするが、2桁人気も【2.0.0.76】とあまりよくない。
 単勝オッズなら、2倍と3倍台が6頭すべて馬券圏外に敗れている。5倍と6倍台が【3.2.2.8】と成績がよく、その近辺も好成績を残す傾向にある。

【人気別の成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 0-0-1-9 0.0% 0.0% 10.0%
2 2-0-4-4 20.0% 20.0% 60.0%
3 1-2-2-5 10.0% 30.0% 50.0%
4 1-0-0-9 10.0% 10.0% 10.0%
5 2-4-0-4 20.0% 60.0% 60.0%
6 1-3-0-6 10.0% 40.0% 40.0%
7 0-0-1-9 0.0% 0.0% 10.0%
8 1-0-2-7 10.0% 10.0% 30.0%
9 0-1-0-9 0.0% 10.0% 10.0%
10~ 2-0-0-76 2.6% 2.6% 2.6%
【単勝オッズ別の成績(過去10年)】
単勝オッズ 成績 勝率 連対率 複勝率
~1.9 0-0-1-0 0.0% 0.0% 100.0%
2.0~2.9 0-0-0-4 0.0% 0.0% 0.0%
3.0~3.9 0-0-0-2 0.0% 0.0% 0.0%
4.0~4.9 0-0-2-3 0.0% 0.0% 40.0%
5.0~6.9 3-2-2-8 20.0% 33.3% 46.7%
7.0~9.9 2-2-2-12 11.1% 22.2% 33.3%
10.0~14.9 2-2-1-10 13.3% 26.7% 33.3%
15.0~19.9 1-2-0-10 7.7% 23.1% 23.1%
20.0~29.9 1-2-2-17 4.5% 13.6% 22.7%
30.0~49.9 1-0-0-20 4.8% 4.8% 4.8%
50.0~99.9 0-0-0-21 0.0% 0.0% 0.0%
100.0~ 0-0-0-31 0.0% 0.0% 0.0%

Check2高松宮記念好走馬は危険

 ステップレースはマイラーズC、ダービー卿CT、高松宮記念の3レースが中心だ。高松宮記念はG1で出走馬のレベルが高いはずだが【2.1.4.27】で、凡走するケースも目立っている。高松宮記念3着以内で京王杯SCに出走したのは12頭おり、好走したのは06年1着のオレハマッテイルゼと08年3着のスズカフェニックスのみで、残りの10頭は凡走している。また、1600万下組が【2.1.1.9】と健闘している。

【主な前走のレース別成績(過去10年)】
前走レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
マイラーズC 3-2-2-16 13.0% 21.7% 30.4%
ダービー卿CT 2-2-1-21 7.7% 15.4% 19.2%
1600万下 2-1-1-9 15.4% 23.1% 30.8%
高松宮記念 2-1-4-27 5.9% 8.8% 20.6%
阪神牝馬S 1-1-0-4 16.7% 33.3% 33.3%
オーストラリアS 0-1-1-3 0.0% 20.0% 40.0%
谷川岳S 0-1-0-15 0.0% 6.3% 6.3%
香港マイル 0-1-0-1 0.0% 50.0% 50.0%
ドバイGS 0-0-1-0 0.0% 0.0% 100.0%

Check3前走着順が悪くても大丈夫

 人気上位馬が強いわけではなく、かといってノーマークの人気薄が来ることも少ない京王杯SC。どことなくつかみどころがないのは、前走の着順別成績にも現れている。前走6着以下の馬が多く、4勝しており、計14頭が馬券に絡んでいる。つまり、馬券圏内の約2頭に1頭が前走6着以下から巻き返したことになる。
 ただ、前走の着差別で見ると、前走1秒以上負けた馬は【1.0.3.33】で4頭しか馬券に絡んでいない。前走の着順は悪くても平気だが、着差は1秒以内でないと難しいようだ。

【前走の着順別成績(過去10年)】
前走着順 成績 勝率 連対率 複勝率
1着 3-3-1-19 11.5% 23.1% 26.9%
2着 0-1-0-14 0.0% 6.7% 6.7%
3着 2-0-1-13 12.5% 12.5% 18.8%
4着 0-2-0-9 0.0% 18.2% 18.2%
5着 1-0-2-11 7.1% 7.1% 21.4%
6~9着 2-3-3-36 4.5% 11.4% 18.2%
10着~ 2-1-3-36 4.8% 7.1% 14.3%

Check45歳馬が中心

 年齢別では5歳馬が強い最多の5勝しており、しかも最近5年連続で勝利している。また04年以降、8年連続で5歳馬は最低1頭は馬券に絡んでいる。
 苦戦しているのは4歳馬。2勝しているが、02年と03年と古く、最近は好走馬がほとんど出ていない。7歳以上の高齢馬も未勝利で、馬券の軸にするのは難しい。

【年齢別の成績(過去10年)】
年齢 成績 勝率 連対率 複勝率
4歳 2-0-2-36 5.0% 5.0% 10.0%
5歳 5-4-2-32 11.6% 20.9% 25.6%
6歳 3-4-3-40 6.0% 14.0% 20.0%
7歳以上 0-2-3-30 0.0% 5.7% 14.3%