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第29回 フェブラリーS(G1)

2月19日(日)東京競馬場 ダート1600m

 中央競馬のG1開幕戦となるフェブラリーS。以前から中央馬にとっては貴重なダート重賞として多くの猛者がこのレースを制してきたが、95年のいわゆる「交流元年」以降は特に、その時代を代表する名馬が勝利を手にしている。G2時代の96年には、後に各地で連勝を続けることになるホクトベガが圧勝。そしてG1となった97年以降も、カネヒキリヴァーミリアン、そして岩手のメイセイオペラなどダート王がずらり。昨年はトランセンドがここを制し、ドバイワールドCでも大健闘を見せたのは記憶に新しい。そんなフェブラリーSの過去の傾向を振り返ってみよう。
2011年2月フェブラリーS(G1)

写真:競馬ブック

Check1単勝7倍未満の馬は安定、波乱は期待薄

 過去10年、1番人気が【8.0.1.1】という優秀な成績。1番人気が強すぎるため2番人気以下は2勝のみだが、2着馬も10頭中9頭が5番人気以内と上位人気が中心になっている。3着には人気薄も見られるものの、3連単は最高でも5万円台だ
 単勝オッズでは7倍あたりがひとつの目安で、5.0~6.9倍でも連対率41.7%、複勝率66.7%の好成績。7倍以上になると好走確率が下がってくる。また、単勝7倍未満が4頭いた02年は1~3着を独占し、7倍未満3頭だった5回はすべて、そのうち2頭が3着以内。そして、7倍未満が1~2頭だった4回も勝利を収めており、人気薄同士の組み合わせは望み薄だ。

【人気別成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 8-0-1-1 80.0% 80.0% 90.0%
2 0-2-2-6 0.0% 20.0% 40.0%
3 1-4-1-4 10.0% 50.0% 60.0%
4 0-1-2-7 0.0% 10.0% 30.0%
5 0-2-0-8 0.0% 20.0% 20.0%
6 1-0-1-8 10.0% 10.0% 20.0%
7 0-1-0-9 0.0% 10.0% 10.0%
8 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
9 0-0-2-8 0.0% 0.0% 20.0%
10 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
11~ 0-0-1-57 0.0% 0.0% 1.7%
【単勝オッズ別成績(過去10年)】
単勝 成績 勝率 連対率 複勝率
~1.4 1-0-0-0 100.0% 100.0% 100.0%
1.5~1.9 1-0-0-0 100.0% 100.0% 100.0%
2.0~2.9 3-0-1-0 75.0% 75.0% 100.0%
3.0~3.9 3-0-0-3 50.0% 50.0% 50.0%
4.0~4.9 0-1-0-1 0.0% 50.0% 50.0%
5.0~6.9 1-4-3-4 8.3% 41.7% 66.7%
7.0~9.9 0-2-2-8 0.0% 16.7% 33.3%
10.0~14.9 0-2-0-17 0.0% 10.5% 10.5%
15.0~19.9 0-1-1-7 0.0% 11.1% 22.2%
20.0~29.9 1-0-1-15 5.9% 5.9% 11.8%
30.0~49.9 0-0-2-18 0.0% 0.0% 10.0%
50.0~ 0-0-0-55 0.0% 0.0% 0.0%

Check2古豪よりも4~5歳馬

 歴戦の古豪が活躍する例も多いダート戦線だが、このレースは9連対の4歳馬、7連対の5歳馬が中心。6歳以上も出走頭数は非常に多いものの、優勝したのは1頭だけで、好走確率では4~5歳と6歳以上に大きな差がある。その6歳以上で優勝した1頭、08年のヴァーミリアン(6歳)は、前年秋にJBCクラシック、ジャパンCダート、そして東京大賞典と3連勝を飾っていた。

【性齢別成績(過去10年)】
性齢 成績 勝率 連対率 複勝率
4歳・牡セン 4-5-1-30 10.0% 22.5% 25.0%
5歳・牡セン 5-2-2-18 18.5% 25.9% 33.3%
6歳・牡セン 1-0-5-33 2.6% 2.6% 15.4%
7歳・牡セン 0-3-2-37 0.0% 7.1% 11.9%
牝馬 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%

Check3500キロ前後が中心、超大型馬や中型馬は苦戦

 ダート戦らしく、パワーに優る大型馬の好走が目立つレース。ただ、好走馬の中心は480キロ以上530キロ未満あたりで、530キロ以上の超大型馬になると【0.0.3.13】と連対がない
 また、480キロを切る馬はトータル【2.1.2.47】連対率5.8%。ここに駒を進めるまでに、ダート戦線である程度は選別されているにも関わらず今ひとつの成績だ。この480キロ未満で連対した3頭はアグネスデジタル(マイルCS)、アドマイヤドン(朝日杯FS)、シーキングザダイヤ(ニュージーランドT)と、芝1600mのG1、またはG2で優勝歴を持つ馬だった。

【馬体重別成績(過去10年)】
馬体重 成績 勝率 連対率 複勝率
~448kg 0-0-0-6 0.0% 0.0% 0.0%
450kg~459kg 2-0-1-6 22.2% 22.2% 33.3%
460kg~469kg 0-0-1-14 0.0% 0.0% 6.7%
470kg~479kg 0-1-0-21 0.0% 4.5% 4.5%
480kg~489kg 1-2-3-9 6.7% 20.0% 40.0%
490kg~499kg 2-2-0-20 8.3% 16.7% 16.7%
500kg~509kg 0-2-0-14 0.0% 12.5% 12.5%
510kg~519kg 3-2-1-16 13.6% 22.7% 27.3%
520kg~529kg 2-1-1-9 15.4% 23.1% 30.8%
530kg~ 0-0-3-13 0.0% 0.0% 18.8%

Check4近年はG1実績がほぼ必須

 既にG1で実績を出している馬の好走が目立つレースで、特に近年はその傾向が顕著。08年以降の4年間では、1~3着の12頭中11頭はG1(Jpn1)で3着以内の実績を持っていた。残る1頭・カジノドライヴ(09年2着)はデビュー2戦目からアメリカ遠征があった馬で、例外中の例外だ。また、連対馬にかぎれば、そのカジノドライヴを除く7頭はG1馬である。
 また、こういった実績馬がG3に出走する例があまり多くないため、前哨戦にあたる平安S組や根岸S組は不振で、過去10年合計【2.1.5.69】連対率3.9%止まり。この組の好走馬8頭中6頭はG1連対実績馬だった。残る2頭、ビッググラスは根岸S勝ちに加え、ダートでは8戦連続で馬券圏内(前々走は芝で14着)。ヒシアトラスも平安S勝ちなど7戦連続馬券圏内と、G3組はG1実績がなければ、前走勝ち+ダート連続好走中であることが条件になる。それでもこの2頭は3着にとどまっており、前走G3組でも基本的にはG1実績馬が中心だ。

【1~3着馬の主なG1実績(過去4年)】
馬名 人気 着順 主なG1実績
08 ヴァーミリアン 1 1 JCダート1着
ブルーコンコルド 7 2 南部杯1着
ワイルドワンダー 3 3 南部杯2着
09 サクセスブロッケン 6 1 ジャパンDダービー1着
カジノドライヴ 3 2 (JCダート6着)
カネヒキリ 1 3 JCダート1着
10 エスポワールシチー 1 1 JCダート1着
テスタマッタ 5 2 ジャパンDダービー1着
サクセスブロッケン 2 3 フェブラリーS1着
11 トランセンド 1 1 JCダート1着
フリオーソ 3 2 帝王賞1着
バーディバーディ 4 3 東京大賞典3着
【前走G3組の好走馬(過去10年)】
馬名 人気 着順 前走 主なG1実績
02 ノボトゥルー 2 3 根岸S
2着
フェブラリーS1着
03 ビワシンセイキ 3 2 平安S
4着
東京大賞典2着
04 スターリングローズ 9 3 根岸S
11着
JBCスプリント1着
05 メイショウボーラー 1 1 根岸S
1着
朝日杯FS2着
05 ヒシアトラス 6 3 平安S
1着
未経験
07 サンライズバッカス 3 1 平安S
2着
ダービーGP2着
ビッググラス 9 3 根岸S
1着
未経験
08 ワイルドワンダー 3 3 根岸S
1着
南部杯2着

第62回 ダイヤモンドステークス(G3)

2月18日(土) 東京競馬場 芝3400m

 長距離の名物重賞、ダイヤモンドステークスが行われる。長い間3200mの距離で争われていたが、2004年に現在と同じ3400mの距離になり、JRAの重賞ではステイヤーズS(3600m)に次ぐ長距離となった。3200mで争われるG1の天皇賞(春)を狙う強豪馬は、重いハンデを背負うことになるので参戦することがあまりなく、出走馬は条件戦を勝ったばかりの馬や重賞で苦戦している長距離馬が多くを占める。そんなダイヤモンドステークスの傾向を過去10年のデータから検証する。
2011年2月ダイヤモンドS(G3)

写真:競馬ブック

Check1上位人気はあまり信頼できない

 1番人気は【3.0.1.6】とやや不振。1番人気で馬券に絡んだ4頭は、すべてハンデ57キロ以上。ハンデに恵まれて1番人気になった馬は危険。2番人気は【3.1.1.5】でマズマズだが、3~5番人気が【1.3.1.25】で複勝率16.7%とよくない。ハンデ戦のG3らしく、上位人気は今ひとつ。

【人気別成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 3-0-1-6 30.0% 30.0% 40.0%
2 3-1-1-5 30.0% 40.0% 50.0%
3 1-1-0-8 10.0% 20.0% 20.0%
4 0-2-1-7 0.0% 20.0% 30.0%
5 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
6 1-2-2-5 10.0% 30.0% 50.0%
7 0-1-1-8 0.0% 10.0% 20.0%
8 1-1-0-8 10.0% 20.0% 20.0%
9 0-0-1-9 0.0% 0.0% 10.0%
10~ 1-2-3-46 1.9% 5.8% 11.5%

Check2前走、準オープンで負けていた馬が狙い目

 前走のレース別では、万葉S組(3000mのオープン特別)が【5.1.3.23】で最も勝ち馬を多く輩出している。また、準オープンの1600万下組も【2.6.2.23】で計10頭が馬券に絡んでいる。ただし、必ずしも前走1600万下を勝っている必要はなく、勝利していたのは10頭中わずか3頭だった。
 一方、不振なのは、長距離重賞のステイヤーズS組で5頭すべてが凡走している。出走馬のレベルの高いアメリカJCCも【0.1.0.23】とさっぱりだ。

【主な前走のレース別成績(過去10年)】
前走レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
万葉S 5-1-3-23 15.6% 18.8% 28.1%
1600万下 2-6-2-23 6.1% 24.2% 30.3%
日経新春杯 1-1-3-9 7.1% 14.3% 35.7%
1000万下(特別含む) 1-1-2-17 4.8% 9.5% 19.0%
有馬記念 1-0-0-3 25.0% 25.0% 25.0%
アメリカJCC 0-1-0-23 0.0% 4.2% 4.2%
ステイヤーズS 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%
中山金杯 0-0-0-3 0.0% 0.0% 0.0%
平安S 0-0-0-2 0.0% 0.0% 0.0%

Check3前走の距離は2400m以上が理想

 近年、長距離レースの数は少なくなっているが、このダイヤモンドSのステップレースは比較的長い距離を使っていないと苦戦する傾向にある。前走が2400、2500、3000mの長距離を使っていた馬は、いずれも複勝率が25%を超えていたのに対して、前走が1800、2000、2200mの中距離だった場合は、いずれも複勝率が15%を下回っている。3400mのダイヤモンドSにとって、前走からの距離延長は1000mぐらいまでに留めておきたい。

【前走の距離別成績(過去10年)】
前走距離 成績 勝率 連対率 複勝率
1400m 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%
1800m 1-0-0-7 12.5% 12.5% 12.5%
1900m 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%
2000m 0-1-0-8 0.0% 11.1% 11.1%
2200m 0-1-2-25 0.0% 3.6% 10.7%
2400m 2-3-4-26 5.7% 14.3% 25.7%
2500m 2-4-1-16 8.7% 26.1% 30.4%
3000m 5-1-3-23 15.6% 18.8% 28.1%
3600m 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%

Check4軽ハンデ馬の取捨に注意!

 連対馬20頭中11頭がハンデ53キロ以下で、好走馬は軽ハンデに多い。だが49キロ以下は9頭すべてが凡走しており、軽すぎる場合は実力不足で勝負にならないようだ。
 複勝率で見ると、57.5~59キロが【1.1.1.5】で37.5%と高く、52~53キロが【4.5.2.34】で24.4%、50~51キロが【1.1.2.14】で22.2%と続き、軽ハンデは好走馬は多いが、好走確率はそれほど高くはない

【斤量別の成績(過去10年)】
斤量 成績 勝率 連対率 複勝率
49kg 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%
50kg 0-1-2-4 0.0% 14.3% 42.9%
51kg 1-0-0-10 9.1% 9.1% 9.1%
52kg 1-2-2-12 5.9% 17.6% 29.4%
53kg 3-3-0-22 10.7% 21.4% 21.4%
54kg 1-1-3-13 5.6% 11.1% 27.8%
55kg 0-1-1-16 0.0% 5.6% 11.1%
56kg 1-1-0-14 6.3% 12.5% 12.5%
56.5kg 0-0-0-2 0.0% 0.0% 0.0%
57kg 2-0-1-5 25.0% 25.0% 37.5%
57.5kg 1-1-1-3 16.7% 33.3% 50.0%
58kg 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%
58.5kg 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%