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第31回 ジャパンカップ(G1)

11月27日(日) 東京競馬場 芝2400m

 世界に通用する馬作りを目指す一環として、1981年に創設された国際招待競走・ジャパンC。現在でこそ平地重賞はすべて国際競走となっているが、創設からしばらくはこのレースが日本の重賞では唯一、日本馬が国内で海外の強豪と手合わせできる舞台だった。創設当初は、決して超一流馬とはいえない外国馬にも歯が立たない年が多かった。しかし、90年代から日本馬の優勝が格段に増え、特に98年のエルコンドルパサー以降は優勝馬13頭中11頭を日本馬が占めている。また、00年には1着賞金が天皇賞などと横並びの1億3200万円から2億5000万円になるなど、賞金を大幅に増額。現在は名実ともに日本最高峰のレースとなっている。そんなジャパンCの傾向を分析してみたい。
2010年11月ジャパンカップ(G1)

写真:競馬ブック

 天皇賞(秋)を勝ち、G1初制覇を成し遂げたトーセンジョーダン。2400mも守備範囲で、G1連勝の可能性も十分。
  ブエナビスタは昨年の天皇賞(秋)以降、勝ち星から遠ざかっている。休み明け2戦目の今回は上積みが見込める。
  ダービーと菊花賞ではオルフェーヴルの2着だったウインバリアシオン。三冠馬が出走しない今回のレースで、どれだけやれるか注目。
  堅実なレースが魅力のカリバーン。強力なメンバーでも好走する可能性はありそうだ。
  昨年、繰り上がりでこのレースを優勝したローズキングダム。前走の天皇賞(秋)はやや距離不足。東京芝2400mなら、本領を発揮するはず。
 そのほか、優勝したドバイワールドC以来となるヴィクトワールピサ、天皇賞(春)の勝ち馬ヒルノダムール、アルゼンチン共和国杯を勝利して勢いに乗るトレイルブレイザー、悲願のG1勝利を狙うペルーサなど見応えのあるメンバーが揃った。
  外国馬では、凱旋門賞で圧巻のパフォーマンスを披露したデインドリーム、凱旋門賞2着のシャレータ、カナディアン国際を制したサラリンクスに注目。

【ジャパンCの出走予定馬】
競馬道 馬 名 性齢 斤量 騎手
ウインバリアシオン 牡3 55.0 安藤勝
  エイシンフラッシュ 牡4 57.0 池 添
  オウケンブルースリ 牡6 57.0 蛯 名
カリバーン 牡4 57.0
  キングトップガン 牡8 57.0 戸 崎
  サラリンクス 牝4 55.0 スミヨ
  シャレータ 牝3 53.0 ルメー
  ジャガーメイル 牡7 57.0 四 位
  スノーフェアリー 牝4 55.0
  デインドリーム 牝3 53.0 シュタ
トーセンジョーダン 牡5 57.0 ウィリ
  トゥザグローリー 牡4 57.0 福 永
  トレイルブレイザー 牡4 57.0 武 豊
  ヒルノダムール 牡4 57.0
ブエナビスタ 牝5 55.0 岩 田
  ペルーサ 牡4 57.0 横山典
  ミッションアプルー 牡7 57.0 Jエス
ローズキングダム 牡4 57.0 メンデ
  ヴィクトワールピサ 牡4 57.0 Mデム
 

Check1上位人気は安定。人気薄は3歳か外国人騎手

 過去10年、単勝オッズ2.9倍以下の馬は複勝率100%。3倍台の馬も02年(中山)のナリタトップロード以外はすべて馬券圏内に絡んでおり、人気に推された馬の堅実味が目立っている。人気別で見ても、連対馬20頭中17頭、そして3着以内馬30頭中24頭が5番人気以内である。なお、6番人気以下の好走馬6頭のうち、4頭は外国人騎手の騎乗馬。そして残る2頭は3歳馬で、穴を狙うなら外国人騎手か3歳馬という、ここ10年の傾向だ。

【単勝オッズ別成績(過去10年)】
単勝 成績 勝率 連対率 複勝率
~1.4 1-0-0-0 100.0% 100.0% 100.0%
1.5~1.9 0-1-2-0 0.0% 33.3% 100.0%
2.0~2.9 1-1-1-0 33.3% 66.7% 100.0%
3.0~3.9 1-1-2-1 20.0% 40.0% 80.0%
4.0~4.9 1-1-0-3 20.0% 40.0% 40.0%
5.0~6.9 0-1-0-4 0.0% 20.0% 20.0%
7.0~9.9 1-1-2-9 7.7% 15.4% 30.8%
10.0~14.9 3-2-2-11 16.7% 27.8% 38.9%
15.0~19.9 0-1-0-12 0.0% 7.7% 7.7%
20.0~29.9 1-0-1-15 5.9% 5.9% 11.8%
30.0~49.9 1-1-0-18 5.0% 10.0% 10.0%
50.0~ 0-0-0-62 0.0% 0.0% 0.0%
【6番人気以下の好走馬(過去10年)】
馬名 性齢 騎手 人気 着順
02 ファルブラヴ 牡4 デットーリ 9 1
サラファン セ5 ナカタニ 11 2
04 デルタブルース 牡3 安藤勝己 7 3
08 スクリーンヒーロー 牡4 デムーロ 9 1
09 レッドディザイア 牝3 四位洋文 6 3
10 ヴィクトワールピサ 牡3 ギュイヨン 8 3

Check2日本馬+外国人騎手が好成績

 Check1で触れたように穴馬でも注目の外国人騎手だが、もうひとつ目立つのが、日本馬に騎乗した外国人騎手の好成績。過去10年【4.4.4.11】で、複勝率は52.2%。外国人騎手+日本馬の組み合わせがハーツクライ1頭だけだった06年以外、毎年馬券に絡む活躍を見せている。今年も一週前の段階では4頭の日本馬が外国人騎手を鞍上に迎える想定で、過去10年の確率通りなら2頭は3着以内に絡むことになるだけに、軽視は禁物だ。

【外国人騎手騎乗で好走した日本馬(過去10年)】
馬名 騎手 人気 着順
01 ジャングルポケット ペリエ 2 1
02 シンボリクリスエス ペリエ 1 3
03 シンボリクリスエス ペリエ 1 3
04 ゼンノロブロイ ペリエ 1 1
コスモバルク ルメール 2 2
05 ハーツクライ ルメール 2 2
ゼンノロブロイ デザーモ 1 3
07 ポップロック ペリエ 4 2
08 スクリーンヒーロー デムーロ 9 1
09 ウオッカ ルメール 1 1
10 ブエナビスタ スミヨン 1 1降2
ヴィクトワールピサ ギュイヨン 8 3

Check33~4歳馬中心

 性齢別では4歳の牡・セン馬が勝率15.2%、連対率21.2%の好成績。3歳の牡・セン馬は勝率こそ6.7%だが、2~3着は計7頭と多く、連対率、複勝率は5歳と互角。この3~4歳の牡・セン馬が、優勝馬10頭中7頭、連対馬20頭中13頭といずれも半数以上を占めている。また、5歳以上馬が同一年に2頭馬券に絡んだ年は、過去10年で01年(テイエムオペラオー、ナリタトップロード)と05年(アルカセット、ゼンノロブロイ)のみ。06年以降は5年連続で3~4歳馬が2頭以上絡む年が続いており、昨年は3~4歳馬が1~3着を独占した。

【年齢別成績(過去10年)】
性別 年齢 成績 勝率 連対率 複勝率
牡・セン馬 3歳 2-4-3-21 6.7% 20.0% 30.0%
4歳 5-2-2-24 15.2% 21.2% 27.3%
5歳 1-2-2-31 2.8% 8.3% 13.9%
6歳 1-1-0-23 4.0% 8.0% 8.0%
7歳上 0-0-0-20 0.0% 0.0% 0.0%
牝馬 3歳 0-0-1-5 0.0% 0.0% 16.7%
4歳 0-1-1-7 0.0% 11.1% 22.2%
5歳 1-0-1-4 16.7% 16.7% 33.3%
6歳 0-0-0-0 0.0% 0.0% 0.0%
7歳上 0-0-0-0 0.0% 0.0% 0.0%

Check4ダービー好走実績馬に注目

 東京芝2400mのG1といえば、このレースと日本ダービー、そしてオークス。特にダービー好走実績馬は、このジャパンCでも好走例が非常に多い。過去10年のうち、中山の02年を除いた9回ではすべて、ダービー3着以内(前年以前も含む)の実績を持つ馬が馬券に絡んでいた。また、牝馬の好走馬(日本馬)のべ4頭は、ダービー馬・ウオッカ(好走2回)に、オークス馬・ブエナビスタ、そしてオークスハナ差2着のレッドディザイア。牡牝問わず、東京2400mのクラシック好走実績馬への注目は欠かせない。

【ダービー3着以内の好走馬(過去10年、02年中山除く)】
馬名 人気 着順 ダービー実績
01 ジャングルポケット 2 1 同年1着
テイエムオペラオー 1 2 前々年3着
ナリタトップロード 5 3 前々年2着
03 ザッツザプレンティ 5 2 同年3着
シンボリクリスエス 1 3 前年2着
04 ゼンノロブロイ 1 1 前年2着
05 ハーツクライ 2 2 前年2着
ゼンノロブロイ 1 3 前々年2着
06 ディープインパクト 1 1 前年1着
ドリームパスポート 5 2 同年3着
07 メイショウサムソン 1 3 前年1着
08 ディープスカイ 1 2 同年1着
ウオッカ 2 3 前年1着
09 ウオッカ 1 1 前々年1着
10 ローズキングダム 4 1 同年2着
ヴィクトワールピサ 8 3 同年3着

Check4天皇賞組の連続凡走馬は危険

 例年出走馬の多い秋の天皇賞組の取捨も重要なポイントになるレース。この組に注目すると、一昨年のオウケンブルースリなど天皇賞で3着以下だった馬が好走するケースも少なくない。ただ、前々走で連対を外していたのは、03年のシンボリクリスエス(前々走宝塚記念5着)1頭だけ。そして、天皇賞で3着以下だった6頭はすべて前々走では連対を果たしていた
 天皇賞が3着以下で前々走も3着以下だった好走馬は94年のロイスアンドロイス(3着→3着→JC3着)。前々走4着以下になると92年のトウカイテイオー(5着→7着→JC1着)までさかのぼるだけに、秋の天皇賞組で2戦連続凡走中の馬は危険だ。

【天皇賞組の好走馬(過去10年)】
馬名 人気 着順 天皇賞の着順 前々走
01 テイエムオペラオー 1 2 2 京都大賞典1着
02 シンボリクリスエス 1 3 1 神戸新聞杯1着
03 シンボリクリスエス 1 3 1 宝塚記念5着
04 ゼンノロブロイ 1 1 1 京都大賞典2着
05 ハーツクライ 2 2 6 宝塚記念2着
ゼンノロブロイ 1 3 2 インターナショナルS2着
07 アドマイヤムーン 5 1 6 宝塚記念1着
ポップロック 4 2 4 京都大賞典2着
メイショウサムソン 1 3 1 宝塚記念2着
08 ディープスカイ 1 2 3 神戸新聞杯1着
ウオッカ 2 3 1 毎日王冠2着
09 ウオッカ 1 1 3 毎日王冠2着
オウケンブルースリ 2 2 4 京都大賞典1着
10 ブエナビスタ 1 1降2 1 宝塚記念2着

第56回 京阪杯(G3)

11月26日(土) 京都競馬場 芝1200m

 1956年に「京都特別」というレース名で、京都競馬場の芝2200mのハンデ戦として創設。61年に現在のレース名「京阪杯」と改称され、その後は中距離の重賞として1800~2200mの距離で争われて、カツラギエース、ネーハイシーザー、カンパニーなどのG1馬が勝利している。06年にスプリント重賞として生まれ変わり、芝1200mの別定重量戦として行われるようになった。今と同じ距離・条件になった過去5年のデータから傾向を探っていく。
2010年11月京阪杯(G3)

写真:競馬ブック

 G1のNHKマイルCをはじめ、重賞3勝のジョーカプチーノ。このメンバーなら負けられない。
  3歳馬のロードカナロアは、これまで6戦して4勝2着2回と連対率10割。前走は休み明けにも関わらず、京洛Sを快勝。このレースを勝ち、短距離界の新星となれるか。
  キョウワマグナムはオープン入り後、2戦とも勝ち馬と0秒2差。クラス慣れが見込め、そろそろ勝利を手にしたい。
  しぶといレースぶりでおなじみのグランプリエンゼル。馬場が荒れるようなら、台頭する可能性も十分。
  そのほか、ケイアイアストンワンカラットアーバニティミキノバンジョーら、伏兵陣も虎視眈々。

【京阪杯の出走予定馬】
競馬道 馬 名 性齢 斤量 騎手
  アーバニティ 牡7 57.0 四 位
  アーバンストリート 牡7 57.0 秋 山
  アウトクラトール 牡6 56.0 ○ ○
キョウワマグナム 牡4 56.0 小牧太
グランプリエンゼル 牝5 54.0 ウィリ
ケイアイアストン 牡6 56.0 岩 田
  コパノオーシャンズ 牝7 54.0 川 須
  サワヤカラスカル 牝6 54.0 ○ ○
  ショウナンカザン 牡6 56.0 和田竜
  シンボリグラン 牡9 58.0 ○ ○
ジョーカプチーノ 牡5 58.0 ルメー
  ナイアード 牝5 54.0 大 野
  ブラウンワイルド 牡3 55.0 ○ ○
  ミキノバンジョー 牡4 56.0
ロードカナロア 牡3 55.0 福 永
  ワイルドラズベリー 牝4 54.0 北村友
  ワンカラット 牝5 55.0 藤岡佑
 

Check12~4番人気が安定しているが、ここ2年は荒れ模様

 1番人気は【1.0.0.4】で不安定だが、2~4番人気の合計が【3.4.3.5】で、複勝率66.7%と好走確率が高い。06~08年は上位人気同士が1~3着を占めていたが、ここ2年は二ケタ人気が好走して、波乱傾向にある。マイルCSの翌週に開催されるため、一流馬の参戦はほとんどなく、出走馬のレベルは低く、混戦になりがちだ。

【人気別成績(過去5年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 1-0-0-4 20.0% 20.0% 20.0%
2 1-0-3-1 20.0% 20.0% 80.0%
3 0-3-0-2 0.0% 60.0% 60.0%
4 2-1-0-2 40.0% 60.0% 60.0%
5 0-0-1-4 0.0% 0.0% 20.0%
6 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%
7 1-0-0-4 20.0% 20.0% 20.0%
8 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%
9 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%
10~ 0-1-1-41 0.0% 2.3% 4.7%
【1~5着の人気と主な配当(過去5年)】
06 07 08 09 10
1着馬人気 4 1 4 7 2
2着馬人気 3 4 3 3 13
3着馬人気 2 2 2 16 5
馬連 1580円 980円 3510円 4610円 26650円
3連複 4310円 1910円 3210円 136850円 65070円

Check2スプリンターズS組は不振

 前走のレース別成績では、スワンS(1400mのG2)と京洛S(1200mのオープン特別、06、07年は1600万下)がちょうど5頭ずつ好走馬を輩出している。G1のスプリンターズS組は【1.0.0.5】であまりよくない。スプリンターズS組は過去5年で4頭が1番人気に支持されたが、07年にサンアデュが勝利した以外は凡走している。
 前走の距離別の成績は、1200mが【3.3.3.49】で複勝率15.5%に対して、1400mは【2.2.2.17】で複勝率26.1%と好成績を残している。ただし、1400mで好走した馬6頭中5頭がスワンSなので、スワンS以外の1400m好走馬は1頭しかいない

【主な前走のレース別成績(過去5年)】
前走 成績 勝率 連対率 複勝率
スワンS 1-2-2-9 7.1% 21.4% 35.7%
京洛S 2-2-1-15 10.0% 20.0% 25.0%
スプリンターズS 1-0-0-5 16.7% 16.7% 16.7%
長岡京S 1-0-0-0 100.0% 100.0% 100.0%
福島民友C 0-1-1-13 0.0% 6.7% 13.3%
セントウルS 0-0-1-1 0.0% 0.0% 50.0%

Check3前走で中途半端に支持された馬は危険

 前走の人気別の成績は、1、2番人気orまったくなかった馬が強いという極端なデータとなった。前走1番人気に支持された馬は【1.1.1.5】で複勝率37.5%、前走2番人気に支持された馬は【2.1.1.5】で複勝率44.4%と高い数字を残している。ところが前走3~5番人気の馬は、18頭すべてが凡走している。前走6番人気以下になると、ソコソコ好走している。

【前走の人気別の成績(過去5年)】
前走の人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気 1-1-1-5 12.5% 25.0% 37.5%
2番人気 2-1-1-5 22.2% 33.3% 44.4%
3番人気 0-0-0-7 0.0% 0.0% 0.0%
4番人気 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%
5番人気 0-0-0-6 0.0% 0.0% 0.0%
6~9番人気 1-3-1-20 4.0% 16.0% 20.0%
10番人気~ 1-0-2-25 3.6% 3.6% 10.7%

Check4巨漢馬が強い!

 馬体重別の成績では、はっきりとした傾向が現れた。過去5年の勝ち馬5頭すべてが、500キロ以上。複勝率では500~539キロが25%前後なのに対して、460~499キロは15%前後。440~459キロにいたっては9.1%と不調だ。迷ったら馬体重の重い馬を買おう!

【馬体重別の成績(過去5年)】
馬体重 成績 勝率 連対率 複勝率
420~439kg 0-0-0-2 0.0% 0.0% 0.0%
440~459kg 0-1-0-10 0.0% 9.1% 9.1%
460~479kg 0-3-0-14 0.0% 17.6% 17.6%
480~499kg 0-0-3-22 0.0% 0.0% 12.0%
500~519kg 3-0-2-14 15.8% 15.8% 26.3%
520~539kg 2-1-0-9 16.7% 25.0% 25.0%
540~ 0-0-0-2 0.0% 0.0% 0.0%