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第59回 神戸新聞杯(G2)

9月25日(日)阪神競馬場 芝2400m

 上位3頭に菊花賞への優先出走権が与えられる菊花賞トライアル・神戸新聞杯。以前はG2の格付けながらも手薄なメンバー構成になる年が少なくなかったが、菊花賞が11月から10月へ繰り上がって以降、その直前に行われる同じ関西の前哨戦として、多くの実力馬が集結するレースへと変化した。05年には、ここをステップにディープインパクトが三冠を達成。その後も、昨年のビッグウィークなどがこのレースから菊花賞を制している。そんな神戸新聞杯の傾向を振り返ってみよう。
2010年9月神戸新聞杯(G2)ローズキングダム

写真:競馬ブック

Check1上位人気が強いものの……

 過去10年では1番人気【5.3.0.2】、2番人気【1.1.5.3】、3番人気【3.3.0.4】。複勝率は1番人気から順に80%、70%、60%と上位人気が安定した成績を残している。ただ、2400mに距離が延長されたここ4年に限ると1番人気は【1.1.0.2】。07年フサイチホウオー12着、09年アンライバルド4着と、過去10年の着外2頭はいずれもこの4年に出ている。2~3番人気は複勝率75.0%と引き続き安定しているが、1番人気は過去10年の複勝率80%という数字ほど信頼できなくなっている。なお、人気薄でも好走馬は7番人気までで、8番人気以下は02年のナムラサンクス11番人気3着のみ。

【人気別成績比較(01~06年、07年~10年)】
人気 01~06年(2000m) 07~10年(2400m)
成績 勝率 連対率 複勝率 成績 勝率 連対率 複勝率
1 4-2-0-0 66.7% 100.0% 100.0% 1-1-0-2 25.0% 50.0% 50.0%
2 0-1-3-2 0.0% 16.7% 66.7% 1-0-2-1 25.0% 25.0% 75.0%
3 2-1-0-3 33.3% 50.0% 50.0% 1-2-0-1 25.0% 75.0% 75.0%
4 0-0-0-6 0.0% 0.0% 0.0% 0-0-0-4 0.0% 0.0% 0.0%
5 0-1-0-5 0.0% 16.7% 16.7% 0-1-2-1 0.0% 25.0% 75.0%
6 0-0-2-4 0.0% 0.0% 33.3% 0-0-0-4 0.0% 0.0% 0.0%
7 0-1-0-5 0.0% 16.7% 16.7% 1-0-0-3 25.0% 25.0% 25.0%
8~10 0-0-0-16 0.0% 0.0% 0.0% 0-0-0-12 0.0% 0.0% 0.0%
11~ 0-0-1-19 0.0% 0.0% 5.0% 0-0-0-19 0.0% 0.0% 0.0%

Check2ダービー組が圧倒的

 過去10年では連対馬20頭中14頭(70%)が前走ダービー出走馬。特に2400mになった過去4年では、連対馬8頭中6頭(75%)をダービー組が占めている。また、前走宝塚記念のアサクサキングス(07年2着)も、前々走ではダービーに出走しており、過去4年でダービー不出走だった連対馬は09年1着のイコピコ1頭のみ。また、3着以内馬10頭のダービーでの成績は1着から13着までさまざまだが、ダービー最先着馬はここでも必ず連対を果たしていた

【1~3着馬の前走(過去4年)】
馬名 人気 着順 前走 人気 着順 ダービー最先着馬
07 ドリームジャーニー 3 1 ダービー 8 5 アサクサキングス2着
アサクサキングス 5 2 宝塚記念 11 15
ヴィクトリー 2 3 ダービー 2 9
08 ディープスカイ 1 1 ダービー 1 1 ディープスカイ1着
ブラックシェル 3 2 ダービー 6 3
オウケンブルースリ 2 3 阿賀野川特別 1 1
09 イコピコ 7 1 ラジオNIKKEI賞 3 4 リーチザクラウン2着
リーチザクラウン 3 2 ダービー 5 2
セイウンワンダー 5 3 ダービー 3 13
10 ローズキングダム 2 1 ダービー 5 2 エイシンフラッシュ2着
エイシンフラッシュ 1 2 ダービー 7 1
ビッグウィーク 5 3 玄海特別 1 1

Check3「叩き台」の仕上げでは苦戦

 ダービー組など休養明けの参戦が多く、またそういった実績馬が結果を残しているレースだが、「目標は先」という余裕残しの仕上げでは苦戦傾向にある。馬体重の増減別成績を見ると、プラス4キロ以上だった馬は連対率わずか7.0%。成績が良いのは±3キロ以内と、増減がほとんどなかった馬で連対率は22.0%。そしてマイナス4キロ以下だった馬は勝率こそ低いが、連対率は16.7%と悪くない。また、2400m延長後の4年で、5番人気以内で馬券圏内を外した馬は9頭いるが、マイナス体重だった馬は皆無。7頭はプラス4キロ以上、6頭はプラス8キロ以上だった。

【馬体重増減別成績】
増減 成績 勝率 連対率 複勝率
+20kg以上 1-0-0-4 20.0% 20.0% 20.0%
+15kg~+19kg 0-0-0-3 0.0% 0.0% 0.0%
+10kg~+14kg 0-1-2-15 0.0% 5.6% 16.7%
+4kg~+9kg 2-0-3-26 6.5% 6.5% 16.1%
-3kg~+3kg 6-5-4-35 12.0% 22.0% 30.0%
-9kg~-4kg 1-1-1-17 5.0% 10.0% 15.0%
-14kg~-10kg 0-2-0-6 0.0% 25.0% 25.0%
-19kg~-15kg 0-1-0-0 0.0% 100.0% 100.0%
-20kg以下 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%
+4kg以上計 3-1-5-48 5.3% 7.0% 15.8%
-3kg~+3kg 6-5-4-35 12.0% 22.0% 30.0%
-4kg以下計 1-4-1-24 3.3% 16.7% 20.0%
【5番人気以内・4着以下に敗退した馬(過去4年)】
馬名 人気 着順 体重 増減
07 ホクトスルタン 4 4 504 +8
フサイチホウオー 1 12 516 +8
08 ヤマニンキングリー 5 8 474 +16
スマイルジャック 4 9 474 +2
09 アンライバルド 1 4 472 ±0
アプレザンレーヴ 4 9 554 +24
アントニオバローズ 2 11 516 +4
10 レーヴドリアン 3 5 470 +14
シルクオールディー 4 10 482 +12

Check4乗り替わりも減点不要

 G1を目指す馬のトライアルや本番での乗り替わりは良い印象を受けないことが多いが、このレースでは過去10年の連対馬20頭のうち、半数の10頭が乗り替わり。前走からの手替わりも大きな減点は不要だ。また、その10頭のうち6頭は関東の騎手から関西の騎手への乗り替わり。1頭は関東→外国人騎手で、関西→関西の乗り替わりは3頭のみ。同じ乗り替わりでもこのタイプはマイナスが必要かもしれない。

【乗り替わりの連対馬(過去10年)】
馬名 人気 着順 騎手 前走騎手
01 エアエミネム 1 1 松永幹 蛯名
サンライズペガサス 7 2 池添 河内
02 ノーリーズン 2 2 武豊 蛯名
03 ゼンノロブロイ 3 1 デザーモ 横山典
05 シックスセンス 5 2 上村 四位
06 ドリームパスポート 3 1 高田 四位
07 ドリームジャーニー 3 1 武豊 蛯名
アサクサキングス 5 2 四位 松岡
09 イコピコ 7 1 四位 田中勝
10 ローズキングダム 2 1 武豊 後藤

Check4菊花賞候補は評価を下げろ!?

 菊花賞が10月の施行になった02年以降の過去9年のうち、優勝馬7頭は前走でこの神戸新聞杯に出走していた。しかし、その7頭中、このレースと菊花賞を連勝したのは三冠馬・ディープインパクト1頭だけ。残る6頭は神戸新聞杯2着以下で、ヒシミラクルやザッツザプレンティは着外から巻き返している。菊花賞2着にも、このレース12着のフローテーションなどが入っており、神戸新聞杯での順番通りに菊花賞が決着することはまずない。今年は前述のディープインパクト以来となる三冠の可能性があるオルフェーヴルの扱いが難しいが、もしこの馬以外に菊花賞候補がいるなら、ここでは2番手以下の評価にとどめたり、まったく買わないという手もある。

【菊花賞で連対した神戸新聞杯出走馬(過去9年)】
馬名 菊花賞 神戸新聞杯
人気 着順 距離 人気 着順
02 ヒシミラクル 10 1 2000 7 6
03 ザッツザプレンティ 5 1 4 5
リンカーン 4 2 5 4
05 ディープインパクト 1 1 1 1
アドマイヤジャパン 6 2 3 5
06 ソングオブウインド 8 1 6 3
ドリームパスポート 2 2 3 1
07 アサクサキングス 4 1 2400 5 2
08 オウケンブルースリ 1 1 2 3
フローテーション 15 2 14 12
10 ビッグウィーク 7 1 5 3
ローズキングダム 1 2 2 1

第57回 産経賞オールカマー(G2)

9月25日(日) 中山競馬場 芝2200m

 レース名の意味の通り、外国馬や地方所属馬など、さまざまなカテゴリから挑戦者を受け入れているオールカマー。かつては、地方所属馬にとってジャパンカップ出走をかけたレースとして行われ、86年にジュサブロー(愛知)、91年にジョージモナーク(大井)が勝利を収め、ジャパンカップに挑んだ。歴代の勝ち馬にはオグリキャップ、ビワハヤヒデ、ヒシアマゾン、サクラローレルなどの名馬がいるが、近年の出走馬はやや小粒。それでも07年の有馬記念馬マツリダゴッホが、07~09年にかけて3連覇を達成09年に有馬記念と宝塚記念を制したドリームジャーニーが2着に入るなど、一定のレベルは維持している。そんなオールカマーの傾向を過去10年から占う。
2010年9月オールカマー(G2)シンゲン

写真:競馬ブック

Check11、2着に穴馬が来る可能性は低い

 1~3番人気の複勝率がいずれも50%ちょうど。オールカマーは比較的、人気上位馬同士で決まることが多い。単勝オッズ別の成績でも同じ傾向にある。1着馬は04年に単勝66.7倍で勝利したトーセンダンディを除くと、すべてがひと桁2着馬は20倍を超えた馬がいない。3着馬は20~49.9倍の人気薄が3回あり、荒れるのなら3着馬だ。

【単勝オッズ別成績(過去10年)】
オッズ 成績 勝率 連対率 複勝率
~1.9 2-0-0-0 100.0% 100.0% 100.0%
2.0~3.9 2-2-1-5 20.0% 40.0% 50.0%
4.0~6.9 4-5-2-10 19.0% 42.9% 52.4%
7.0~9.9 1-1-1-6 11.1% 22.2% 33.3%
10.0~14.9 0-1-1-6 0.0% 12.5% 25.0%
15.0~19.9 0-1-2-9 0.0% 8.3% 25.0%
20.0~29.9 0-0-1-8 0.0% 0.0% 11.1%
30.0~49.9 0-0-2-11 0.0% 0.0% 15.4%
50.0~99.9 1-0-0-12 7.7% 7.7% 7.7%
100.0~ 0-0-0-22 0.0% 0.0% 0.0%

Check23歳馬は不振で、高齢馬が強い

 年齢別の成績では、3歳馬が苦戦しており、高齢馬が比較的活躍している。3歳馬は4頭すべてが4着以下。皐月賞馬のダイワメジャー(04年2番人気9着)、皐月賞2着のサンツェッペリン(07年2番人気9着)、ダービー3着のハイアーゲーム(04年1番人気4着)などが、人気を背負って敗れている。6歳馬は【4.3.4.23】で複勝率が32.4%と最も高い。7歳馬は3着以内が5頭おり、それらの人気は4~7。ほどよい人気の7歳馬を狙ってみるのもよい。

【年齢別成績(過去10年)】
年齢 成績 勝率 連対率 複勝率
3歳 0-0-0-4 0.0% 0.0% 0.0%
4歳 2-1-2-11 12.5% 18.8% 31.3%
5歳 2-6-1-25 5.9% 23.5% 26.5%
6歳 4-3-4-23 11.8% 20.6% 32.4%
7歳以上 2-0-3-26 6.5% 6.5% 16.1%

Check3札幌記念、宝塚記念好走組を信頼

 前走のレース別成績では、札幌記念、新潟記念、宝塚記念の3レースがよい結果を残している。中でも札幌記念【5.1.1.5】と宝塚記念【1.3.1.3】は連対率が共に50%を超えており、出走してきた場合は要注意だ。この2レースから出走してきて凡走するケースは、前走も凡走していた場合がほとんど。8頭中6頭が前走が4着以下、1頭が1年前の宝塚記念1着馬。05年のコイントスのみが札幌記念で3着と好走しながら、オールカマーで5着と敗れた。

【主な前走のレース別成績(過去10年)】
前走レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
札幌記念 5-1-1-5 41.7% 50.0% 58.3%
新潟記念 2-4-3-22 6.5% 19.4% 29.0%
宝塚記念 1-3-1-3 12.5% 50.0% 62.5%
小倉記念 1-0-0-1 50.0% 50.0% 50.0%
天皇賞秋 1-0-0-0 100.0% 100.0% 100.0%
札幌日経オープン 0-1-0-7 0.0% 12.5% 12.5%
キーンランドC 0-1-0-0 0.0% 100.0% 100.0%
エプソムC 0-0-1-4 0.0% 0.0% 20.0%
ブリーダーズGC 0-0-1-1 0.0% 0.0% 50.0%
クイーンS 0-0-1-1 0.0% 0.0% 50.0%
みなみ北海道S 0-0-1-0 0.0% 0.0% 100.0%
ヴィクトリアマイル 0-0-1-0 0.0% 0.0% 100.0%
朝日チャレンジC 0-0-0-8 0.0% 0.0% 0.0%
目黒記念 0-0-0-7 0.0% 0.0% 0.0%
ダービー 0-0-0-3 0.0% 0.0% 0.0%
エイプリルS 0-0-0-3 0.0% 0.0% 0.0%

Check4前年好走馬のもう一丁がある

 中山2200mというのはコース形態が特殊のため、得意な馬と不得意な馬にはっきりと分かれる。そのため、リピーターが多く、2回以上出走して3着以内に入ったことがある馬が9頭もいる。とくに07年以降は、前年好走した馬が再度好走するケースが目立っている

【2回以上出走して3着以内に好走した馬(過去10年)】
1年目 2年目 3年目
エアスマップ    01年1着 02年5着
サイレントセイバー 01年3着 02年9着
ウインジェネラーレ 04年3着 06年6着
グラスボンバー   05年2着 09年9着
マツリダゴッホ   07年1着 08年1着 09年1着
エリモハリアー   07年3着 08年6着
トウショウシロッコ 08年3着 09年4着 10年3着
ドリームジャーニー 09年2着 10年2着
シンゲン      09年3着 10年1着