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第31回 新潟2歳ステークス(G3)

9月4日(日)新潟競馬場 芝1600m

 夏の新潟開催ラストを飾る新潟2歳ステークス。以前は夏の2歳重賞といえば1200mだったが、このレースは97年から1400m、02年から1600mへ距離を延長。そのため新潟デビュー組以外にも、マイル以上に適性のある馬が各地から転戦してくる例が増えてきた。また、04年の優勝馬・マイネルレコルトと08年のセイウンワンダーが後に朝日杯を制し、07年のエフティマイアは桜花賞、オークスで2桁人気ながら2着に激走。近年は後の2~3歳重賞で活躍する馬も多く「新潟2歳王者決定戦」という以上に注目されるレースだ。そんな新潟2歳ステークスの過去の傾向を振り返ってみたい。
2010年9月新潟2歳S(G3)マイネルサベル

写真:競馬ブック

Check12桁人気が5年連続2着

 過去10年、1番人気が【5.1.2.2】で連対率60%、複勝率80%。この数字だけを見ると「平穏なレース」という印象も受けるが、実際の結果は荒れ模様だ。06年以降、昨年まで5年連続で2桁人気馬が2着に入り、この5年間の馬連最低配当は7500円(09年)。それも、15番人気や16番人気といった2桁人気の中でも下位の馬が3頭も激走している。昨年は10番人気・マイネルラクリマが2着だったが、1着が9番人気マイネイサベルで馬連は3万円近く、3連単は86万馬券。人気薄への警戒は欠かせない。ただ、荒れるイメージを強く持ちすぎて、好成績の1番人気を無視してしまわないようにも注意が必要だ。

【1~3着馬の人気と配当(過去10年)】
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
1着人気 5 4 1 1 1 2 4 1 1 9
2着人気 1 6 2 3 2 11 16 15 15 10
3着人気 4 1 10 8 3 1 9 4 2 5
馬連 1470 4870 650 640 770 7680 44860 11490 7500 29400
3連複 5120 5410 3470 1020 10470 237620 26520 17210 107160
3連単 4060 68190 1423010 173450 110120 867410

Check2関東馬・関西馬互角

 冒頭にも触れた通り、1600mの距離を意識して関西馬や新潟デビュー以外の関東馬の出走も見られるレース。しかし、過去10年(01年のみ1400m)の東西別成績は、関東馬が連対率13.2%、複勝率18.4%、関西馬は連対率11.1%、複勝率20.0%と、ほぼ互角の成績。関西馬にとって遠征の不利はないものの、「強い」と言えるような成績も残せていない。また、3着以内に好走した関西馬9頭中6頭が前走も新潟で出走しており、05年以降にかぎれば6頭中5頭。関西馬でも新潟経験を積んだ馬が良く、特に小倉からの転戦馬は過去10年【0.0.0.16】と不振が目立つ。

【東西・地方別成績(過去10年)】
所属 成績 勝率 連対率 複勝率
関東馬 7-8-6-93 6.1% 13.2% 18.4%
関西馬 3-2-4-36 6.7% 11.1% 20.0%
地方馬 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%
【関西馬の好走馬(過去10年)】
馬名 厩舎 人気 着順 前走レース
レース 距離 人気 着順
01 スターエルドラード 森秀行 1 2 函館 函館2歳S 1200 1 2
02 ワナ 音無秀孝 4 1 阪神 新馬 1400 4 1
マルロス 森秀行 1 3 新潟 ダリア賞 1400 3 1
05 ニシノフジムスメ 藤原英昭 2 2 新潟 未勝利 1400 1 1
06 マイネルレーニア 西園正都 1 3 新潟 ダリア賞 1400 1 1
08 セイウンワンダー 領家政蔵 1 1 阪神 未勝利 1600 1 1
バンガロール 佐々木晶三 4 3 新潟 マリーゴールド 1400 2 2
09 シンメイフジ 安田隆行 1 1 新潟 ダリア賞 1400 1 2
10 レッドセインツ 角居勝彦 5 3 新潟 新馬 1600 1 1

Check3差し・追い込み警戒も……

 1600mに延長された02年以降の9年、競馬道GT8の脚質分類では「差し」8連対、「追込」5連対で、連対馬18頭中13頭が「差し」か「追込」。「先行」に分類される馬が少ないために好走確率が高めに出ているが、全体としては、外回りの長い直線を利した差し、追い込み馬の活躍が目立っている。ただ、2歳戦だけあって前走の段階で後方から競馬を進めていた馬はさほど多くない。過去5年の3着以内馬15頭中、4コーナー6番手以下だったのは4頭のみ。通過順だけでなく、レース内容をしっかりと見極める必要がありそうだ。

【脚質別成績(過去9年)】
脚質 成績 勝率 連対率 複勝率
逃げ 0-0-1-8 0.0% 0.0% 11.1%
先行 2-3-2-20 7.4% 18.5% 25.9%
差し 4-4-5-71 4.8% 9.5% 15.5%
追込 3-2-1-24 10.0% 16.7% 20.0%
【1~3着馬の今回通過順と前走通過順(過去5年)】
1~3着馬 通過順 前走 通過順
06 ゴールドアグリ 10-11-10 新馬 9-9-9
マイネルーチェ 5-6-4 新馬 8-6-5
マイネルレーニア 1-1-1 ダリア賞 1-1-1
07 エフティマイア 4-3-3 マリーゴールド賞 4-4-3
シャランジュ 18-18-18 ダリア賞 5-6-6
ゴールドストレイン 4-9-6 新馬 6-6-5
08 セイウンワンダー 15-14-14 未勝利 2-2-2
ツクバホクトオー 5-9-9 未勝利 2-2-2
バンガロール 2-3-3 マリーゴールド賞 3-3-2
09 シンメイフジ 17-18-18 ダリア賞 11-8-8
フローライゼ 18-14-16 新馬 1-1-1
クロフォード 8-7-12 新馬 6-5-4
10 マイネイサベル 4-8-9 新馬 4-3-3
マイネルラクリマ 2-2-2 ダリア賞 3-2-2
レッドセインツ 13-11-9 新馬 8-6-6

Check4偶数番に注目

 1600mで行われた過去9年の馬番別成績で、もっとも好走確率が高いのは8番枠。【2.1.2.4】で連対率33.3%、複勝率はなんと55.6%にのぼる。ほかに連対率が20%を超えたのは、内から2番、4番、10番、そして15番。そして複勝率30%以上は6番、10番、12番。15番枠以外はすべて偶数番が好走確率の上位に並んでいる。若い2歳馬のレース、特別な理由がないかぎりはゲート後入れとなる偶数番が有利に働いているようだ。

【馬番別成績(過去9年)】
馬番 成績 勝率 連対率 複勝率
1 0-1-1-7 0.0% 11.1% 22.2%
2 0-2-0-7 0.0% 22.2% 22.2%
3 0-1-1-7 0.0% 11.1% 22.2%
4 1-1-0-7 11.1% 22.2% 22.2%
5 0-0-0-9 0.0% 0.0% 0.0%
6 1-0-2-6 11.1% 11.1% 33.3%
7 0-0-0-9 0.0% 0.0% 0.0%
8 2-1-2-4 22.2% 33.3% 55.6%
9 0-0-0-8 0.0% 0.0% 0.0%
10 1-1-1-6 11.1% 22.2% 33.3%
11 0-1-0-8 0.0% 11.1% 11.1%
12 1-0-2-6 11.1% 11.1% 33.3%
13 1-0-0-7 12.5% 12.5% 12.5%
14 0-0-0-8 0.0% 0.0% 0.0%
15 1-1-0-6 12.5% 25.0% 25.0%
16 1-0-0-6 14.3% 14.3% 14.3%
17 0-0-0-6 0.0% 0.0% 0.0%
18 0-0-0-6 0.0% 0.0% 0.0%

第31回 小倉2歳ステークス(G3)

9月4日(日) 小倉競馬場 芝1200m

 夏の小倉開催を締めくくる重賞、小倉2歳ステークスが行われる。最近10年の勝ち馬からは、01年のタムロチェリーが阪神ジュベナイルフィリーズを勝利したほか、03年のメイショウボーラーが古馬になってからフェブラリーSを制覇、06年のアストンマーチャンが3歳時にスプリンターズSを勝つなど、のちのG1馬を多く輩出している。そんな小倉2歳ステークスの傾向を、過去10年のデータから探っていく。
2010年9月小倉2歳S(G3)ブラウンワイルド

写真:競馬ブック

Check1上位人気馬が混戦

 1番人気は【2.0.3.5】と微妙な数字だが、2~5番人気も似たような成績で、上位人気は互角。ただ、二ケタ人気が2勝しており、大穴の一発にも警戒したい。また、小倉2歳Sで3着以内の馬は、すべてが前走1~4番人気。前走あまり期待されなかった馬にとっては、厳しいデータだ。

【人気別成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 2-0-3-5 20.0% 20.0% 50.0%
2 2-2-0-6 20.0% 40.0% 40.0%
3 2-1-1-6 20.0% 30.0% 40.0%
4 1-0-3-6 10.0% 10.0% 40.0%
5 1-4-0-5 10.0% 50.0% 50.0%
6 0-2-0-8 0.0% 20.0% 20.0%
7~9 0-1-2-27 0.0% 3.3% 10.0%
10~ 2-0-1-55 3.4% 3.4% 5.2%
【前走の人気別成績(過去10年)】
前走人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 6-4-5-45 10.0% 16.7% 25.0%
2 2-2-1-23 7.1% 14.3% 17.9%
3 2-1-3-17 8.7% 13.0% 26.1%
4 0-3-1-11 0.0% 20.0% 26.7%
5 0-0-0-12 0.0% 0.0% 0.0%
6~9 0-0-0-8 0.0% 0.0% 0.0%
10~ 0-0-0-2 0.0% 0.0% 0.0%

Check2外枠が圧倒的に好成績

 連続開催の最後に行われるためか、もしくはキャリアの浅い2歳馬のレースだからか、馬場状態が良くてスムーズに競馬が可能な外枠の成績がよい。6~8枠は【6.8.4.43】で連対馬の70%を占めている。それ以外の枠では、1枠が【1.1.2.9】で複勝率30.8%と健闘している。

【枠番別の成績(過去10年)】
枠番 成績 勝率 連対率 複勝率
1枠 1-1-2-9 7.7% 15.4% 30.8%
2枠 0-0-1-16 0.0% 0.0% 5.9%
3枠 1-1-0-16 5.6% 11.1% 11.1%
4枠 1-0-1-17 5.3% 5.3% 10.5%
5枠 1-0-2-17 5.0% 5.0% 15.0%
6枠 1-3-1-15 5.0% 20.0% 25.0%
7枠 3-2-2-12 15.8% 26.3% 36.8%
8枠 2-3-1-16 9.1% 22.7% 27.3%

Check3馬場が悪くても牝馬が強い

 馬場が荒れ気味で行われることが多い小倉2歳S。切れ味を武器にしている牝馬よりも、パワータイプの牡馬の成績がよいと思われがちだが、結果はそうではない。牡・セン馬が3勝なのに対して、牝馬が7勝。勝率、連対率、複勝率すべてで牝馬が上回った。

【性別成績(過去10年)】
性別 成績 勝率 連対率 複勝率
牡・セン 3-7-4-63 3.9% 13.0% 18.2%
7-3-6-55 9.9% 14.1% 22.5%

Check4未勝利かフェニックス賞組を狙え

 デビューして間もない2歳馬による重賞のため、新馬勝ちをした素質馬が好成績を残していると思われがちだが、そうでもない。前走が新馬戦だったのは【1.5.2.50】でわずかに1頭しか勝っていない。それに対して未勝利組は【6.2.3.38】で6勝と好成績を残している。さらに同じ小倉の芝1200mで行われるオープン特別のフェニックス賞も【3.2.4.16】で複勝率36%と高い数字を残している。

【前走のレース別成績(過去10年)】
前走レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
未勝利 6-2-3-38 12.2% 16.3% 22.4%
フェニックス賞 3-2-4-16 12.0% 20.0% 36.0%
新馬 1-5-2-50 1.7% 10.3% 13.8%
ひまわり賞 0-1-0-7 0.0% 12.5% 12.5%
マリーゴールド賞 0-0-1-0 0.0% 0.0% 100.0%
ダリア賞 0-0-0-6 0.0% 0.0% 0.0%
アタックCh 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%

Check5デビュー3戦目の馬が勝つ可能性が高い

 デビューから何レース走って、この小倉2歳Sに臨むのが理想なのか。その答えは2戦のようだ。1戦だと少なすぎで、3戦以上だと使いすぎで疲労が気になるようだ。デビューから2戦して小倉2歳Sを迎えた馬は過去10年で7勝と最多。その内訳は新馬とフェニックス賞を連勝したのが2頭、新馬に勝ってフェニックス賞で2着だったのが1頭、新馬に負けて未勝利で勝ち上がったのが4頭だ。

【キャリア別の成績(過去10年)】
キャリア 成績 勝率 連対率 複勝率
1戦 1-4-2-42 2.0% 10.2% 14.3%
2戦 7-4-4-47 11.3% 17.7% 24.2%
3戦 2-2-2-26 6.3% 12.5% 18.8%
4戦 0-0-2-3 0.0% 0.0% 40.0%