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第46回 テレビ西日本賞北九州記念(G3)

8月14日(日) 小倉競馬場 芝1200m

 芝1800mの重賞として行われていた北九州記念。06年に「サマースプリントシリーズ」が設立されたことに伴い、芝1200mのハンデ重賞として生まれ変わり、サマースプリントシリーズの第3戦に組み込まれた。07年の6着馬アストンマーチャン、08年の優勝馬スリープレスナイトは、続くスプリンターズSを制し、スプリント界の頂点に上り詰めた。サマースプリントシリーズのチャンピオンを狙う馬、G1のスプリンターズSのステップレースとして使う馬など、毎年短距離界の精鋭が集い、好レースが繰り広げられている。芝1200mになって以降の、過去5年の傾向を分析する。
2010年8月テレビ西日本賞北九州記念(G3)メリッサ

写真:競馬ブック

Check1牝馬と4歳馬が好調

 「夏に強い牝馬」の格言通り、牡・セン馬に比べて牝馬の活躍が目立つ。年齢別なら、4歳馬が好調で【2.3.3.9】で複勝率47%を記録している。一方、不振なのは5歳馬で、27頭出走して馬券に絡んだのは09年3着のカノヤザクラのみ。3歳馬と7歳馬もあまり結果を残せていない。

【性齢別成績(過去5年)】
性別 年齢 成績 勝率 連対率 複勝率
牡・セン 2-2-3-39 4.3% 8.7% 15.2%
3歳 0-0-0-3 0.0% 0.0% 0.0%
4歳 0-1-2-4 0.0% 14.3% 42.9%
5歳 0-0-0-14 0.0% 0.0% 0.0%
6歳 2-1-0-8 18.2% 27.3% 27.3%
7歳 0-0-1-10 0.0% 0.0% 9.1%
3-3-2-28 8.3% 16.7% 22.2%
3歳 0-1-0-5 0.0% 16.7% 16.7%
4歳 2-2-1-5 20.0% 40.0% 50.0%
5歳 0-0-1-12 0.0% 0.0% 7.7%
6歳 1-0-0-5 16.7% 16.7% 16.7%
7歳 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%

Check22枠が毎年好走して、4枠は絶不調

 枠番別の成績は、2枠が複勝率55.6%と圧倒的に高く、5年連続で3着以内の馬を輩出している。この枠は、前で競馬をして押し切った08年のスリープレスナイト、後方待機から直線で差し切った10年のメリッサなど、脚質を問わずに活躍している。逆に不振なのは4枠で3着以内がゼロ。06年8着のマルカキセキ、07年6着のアストンマーチャン、10年5着のデグラーティアと1番人気がことごとく馬券対象外に敗れている。

【枠番別成績(過去5年)】
枠番 成績 勝率 連対率 複勝率
1枠 0-0-0-9 0.0% 0.0% 0.0%
2枠 3-1-1-4 33.3% 44.4% 55.6%
3枠 0-1-1-8 0.0% 10.0% 20.0%
4枠 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
5枠 1-1-0-8 10.0% 20.0% 20.0%
6枠 0-0-2-8 0.0% 0.0% 20.0%
7枠 0-1-1-10 0.0% 8.3% 16.7%
8枠 1-1-0-10 8.3% 16.7% 16.7%

Check3軽ハンデは強いが、やや軽いハンデは苦戦

 ハンデ戦らしく、軽ハンデ馬が好成績を残しており、とくに51~52キロが健闘している。重いハンデは苦戦傾向だが、56キロは複勝率28.6%と悪くない。53~55キロは、ほどよいハンデだと思われがちだが【1.1.0.29】と大不振。複勝率がたったの6.4%だ。

【斤量別成績(過去10年)】
斤量 成績 勝率 連対率 複勝率
~49kg 0-0-0-3 0.0% 0.0% 0.0%
50kg台 0-1-0-5 0.0% 16.7% 16.7%
51kg台 0-0-2-5 0.0% 0.0% 28.6%
52kg台 3-2-0-10 20.0% 33.3% 33.3%
53kg台 0-0-0-16 0.0% 0.0% 0.0%
54kg台 1-1-0-9 9.1% 18.2% 18.2%
55kg台 0-0-0-4 0.0% 0.0% 0.0%
56kg台 1-0-3-10 7.1% 7.1% 28.6%
57kg台 0-0-0-4 0.0% 0.0% 0.0%
58kg~ 0-1-0-1 0.0% 50.0% 50.0%

Check4前走1600万下を負けていた馬が好成績

 ハンデ戦のためか、格はあまり関係ない。前走のクラス別の成績では、重賞やオープン特別よりも条件戦を使った馬が結果を残している。1000万下は7頭出走して3頭が馬券に絡む大健闘。1600万下は複勝率23.5%と悪くない。また1600万下を使い馬券に絡んだ4頭すべてが、前走負けていた。オープン特別とG3は複勝率15%前後で、あまりよくない。前走G1に出走した馬は5頭すべてが着外に沈んでいる。

【前走クラス別成績(過去5年)】
前走クラス 成績 勝率 連対率 複勝率
1000万下 1-0-2-4 14.3% 14.3% 42.9%
1600万下 1-3-0-13 5.9% 23.5% 23.5%
オープン特別 1-1-0-12 7.1% 14.3% 14.3%
G3 2-1-3-33 5.1% 7.7% 15.4%
G2 0-0-0-0 0.0% 0.0% 0.0%
G1 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%

Check5前走後方待機馬が直線一気を決める!

 統計を調べると、たいていの重賞競走は、ある程度前で競馬をしていた馬が好成績を残している。ところがこの北九州記念の前走の位置取りに限ってはそうではなかった。前走4コーナーの位置で10番手以内だった馬は、北九州記念の複勝率が15.3%だったのに対して、10番手以下は23.1%もあった。つまり、前走後方から競馬をした馬が、このレースでは活躍する傾向にあるようだ。

【前走4コーナーの位置別成績(過去5年)】
前走4角 成績 勝率 連対率 複勝率
1番手 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%
5番手以内 3-4-2-26 8.6% 20.0% 25.7%
10番手以内 3-4-2-50 5.1% 11.9% 15.3%
10番手以下 2-1-3-20 7.7% 11.5% 23.1%
13番手以下 1-1-2-11 6.7% 13.3% 26.7%

第59回 クイーンS(G3)

8月14日(日)札幌競馬場 芝1800m

 以前は中山競馬場における4歳馬(旧表記)限定の牝馬重賞として行われていたクイーンS。00年に古馬混合・札幌開催に変更されてから10年以上が経過し、秋華賞を目指す3歳馬と、エリザベス女王杯を目標とする古馬が激突するレースとして、すっかり定着してきた。過去10年の出走馬からは両レースの優勝馬こそ出ていないが、昨年このレースを制したアプリコットフィズが秋華賞で3着になるなど好走馬は多数。ほかにも、05年の2着馬ヘヴンリーロマンスが秋の天皇賞を制し、03年2着のファインモーションはマイルCSで2着と、秋の大レースへ向け注目の一戦だ。そんなクイーンSの過去の傾向を見てみよう。
2010年8月クイーンS(G3)アプリコットフィズ

写真:競馬ブック

Check33歳馬が大健闘

 古馬のエリザベス女王杯が11月なのに対し、3歳の秋華賞はひと月ほど早い10月のためか、この時期の重賞としては3歳馬の健闘が目立っている。過去10年の連対率トップは4歳だが、3歳もほぼ互角の好成績。また、複勝率では3歳が、4歳や5歳を上回る成績だ。その3歳の好走馬は、オークスやラジオNIKKEI賞など、8頭中7頭が前走重賞出走馬。残る1頭・ダイヤモンドビコーも前走は6月上旬の900万(現1000万)1着で、夏競馬に入って条件戦を勝ってきた馬の好走はない。3歳馬なら、春のクラシックやそのトライアル出走馬が狙いになる。

【年齢別成績(過去10年)】
年齢 成績 勝率 連対率 複勝率
3歳 2-3-3-20 7.1% 17.9% 28.6%
4歳 5-2-1-30 13.2% 18.4% 21.1%
5歳 2-5-5-36 4.2% 14.6% 25.0%
6歳 1-0-1-12 7.1% 7.1% 14.3%
7歳 0-0-0-2 0.0% 0.0% 0.0%
【3歳の好走馬(過去10年)】
馬名 人気 着順 前走レース 人気 着順
01 ダイヤモンドビコー 4 2 エーデルワイスS 5 1
ムーンライトタンゴ 3 3 オークス 2 6
02 サクラヴィクトリア 9 3 関東オークス 1 1
03 オースミハルカ 7 1 オークス 10 10
04 ヤマニンシュクル 3 3 オークス 2 5
07 イクスキューズ 6 2 ラジオNIKKEI賞 4 3
08 レジネッタ 1 2 オークス 5 3
10 アプリコットフィズ 2 1 オークス 4 6

Check2荒れそうで荒れないレース!?

 過去10年の1番人気馬10頭のうち、7頭が単勝3倍以上。人気が割れることも多いレースだが、全馬の単勝オッズ別成績を見ると3倍台が連対率50.0%、4倍台が60.0%。オッズ的には少々怪しそうに思える人気馬でも、上々の結果を残している。逆に、2倍台の2頭はともに着外(4着)で、1.4倍の断然人気だったファインモーションも「連対した」というよりは「負けた」という印象が強い2着。むしろ人気を集めた馬のほうが危険な傾向だ。なお、ここ5年にかぎれば1、2番人気が揃って連対を外した年がない一方で、1、2着を独占した年もない。06年以降の馬連配当も、一昨年(11番人気ピエナビーナス1着)以外は2000円未満に収まっている。

【単勝オッズ別成績(過去10年)】
単オッズ 成績 勝率 連対率 複勝率
1.0~1.4 0-1-0-0 0.0% 100.0% 100.0%
1.5~1.9 0-0-0-0
2.0~2.9 0-0-0-2 0.0% 0.0% 0.0%
3.0~3.9 2-3-0-5 20.0% 50.0% 50.0%
4.0~4.9 1-2-1-1 20.0% 60.0% 80.0%
5.0~6.9 2-1-2-8 15.4% 23.1% 38.5%
7.0~9.9 1-2-3-12 5.6% 16.7% 33.3%
10.0~14.9 1-0-1-7 11.1% 11.1% 22.2%
15.0~19.9 0-0-1-9 0.0% 0.0% 10.0%
20.0~29.9 1-0-0-15 6.3% 6.3% 6.3%
30.0~49.9 1-1-1-14 5.9% 11.8% 17.6%
50.0~99.9 1-0-1-15 5.9% 5.9% 11.8%
100.0~ 0-0-0-12 0.0% 0.0% 0.0%

Check3前走ローカル組は人気薄を狙え!

 3着以内馬の前走コースを見ると、中央4場だった馬が30頭中23頭。ローカル・地方競馬出走馬は7頭しかおらず、まずは中央4場の出走馬が狙いになる。ただ、穴狙いならローカル・地方競馬組への注目は欠かせない。過去10年、9番人気以下で3着以内に入った馬は4頭で、そのすべてが前走ローカル・地方競馬出走馬だった。逆に、前走ローカル・地方競馬出走馬でも5番人気以内だった馬は、9頭が出走してチアフルスマイルの3着1回のみ。穴馬にもなり、危険な人気馬にもなるのが前走ローカル・地方競馬出走馬だ。

【9番人気以下の好走馬(過去10年)】
馬名 人気 着順 前走レース 人気 着順
02 サクラヴィクトリア 9 3 川崎 関東オークス 1 1
05 ヘヴンリーロマンス 10 2 福島 福島牝馬S 5 10
08 フミノサチヒメ 12 3 中京 パールS 14 11
09 ピエナビーナス 11 1 中京 パールS 12 6
【5番人気以内の前走ローカル・地方出走馬(過去10年)】
馬名 人気 着順 前走レース 人気 着順
01 ティコティコタック 5 6 中京 中京記念 4 4
03 ダイヤモンドビコー 3 4 函館 函館記念 7 11
04 オースミコスモ 1 7 小倉 北九州記念 5 4
05 チアフルスマイル 3 3 中京 愛知杯 11 2
08 メイショウベルーガ 5 7 函館 かもめ島特別 2 1
ユキチャン 4 9 川崎 関東オークス 2 1
09 ヤマニンメルベイユ 5 7 札幌 函館記念 9 13
スペルバインド 2 8 小倉 博多S 2 5
レジネッタ 3 10 札幌 函館記念 7 9

Check4逃げ馬、4角先頭馬が他を圧倒

 逃げ馬が非常に強いレースで、競馬道GT8の脚質集計で「逃げ」に分類された馬はなんと勝率71.4%。そして、道中の位置取りに関係なく、4コーナーで先頭に立っていた馬が10年で8勝と、圧倒的に前有利の傾向が出ている。また「逃げ」は馬券に絡めばすべて勝っており、「先行」は1着3回、2着4回で3着はなし。そして「差し」になると好走馬16頭中8頭が3着と、道中の位置取りが後ろになればなるほど、好走しても2着止まり、3着止まりが増える傾向にある。

【脚質別成績(過去10年)】
脚質 成績 勝率 連対率 複勝率
逃げ 5-0-0-2 71.4% 71.4% 71.4%
先行 3-4-0-19 11.5% 26.9% 26.9%
差し 2-6-8-57 2.7% 11.0% 21.9%
追込 0-0-2-22 0.0% 0.0% 8.3%
【脚質別成績(過去10年)】
馬名 通過順 人気 着順
01 ヤマカツスズラン 1-1-1-1 1 1
02 ミツワトップレディ 4-4-3-1 7 1
03 オースミハルカ 1-1-1-1 7 1
04 オースミハルカ 1-1-1-1 5 1
05 スターリーヘヴン 1-1-1-1 6 14
06 デアリングハート 5-5-4-1 3 1
07 アサヒライジング 1-1-1-1 2 1
08 ヤマニンメルベイユ 1-1-1-1 2 1
09 スペシャルフロート 1-1-1-1 13 14
10 アプリコットフィズ 2-2-2-1 2 1