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第52回 宝塚記念(G1)

6月26日(日)阪神競馬場 芝2200m

 春のグランプリ・宝塚記念。昨年は、後に凱旋門賞で2着になるナカヤマフェスタが優勝したが、その当時は「ブエナビスタが敗れた」という印象が強かった。ほかにも、メジロライアンがマックイーンを下してのG1初制覇や、オサイチジョージがオグリキャップの追撃を封じる逃げ切り勝ち、そしてメイショウドトウがついにテイエムオペラオーに雪辱するなど、記憶に残る逆転劇や激走が多く見られた一戦だ。その一方で、ビワハヤヒデやディープインパクトなど、王者が王者らしい圧勝を見せることもあるこのレース。今年はどんな結果が待っているのだろうか。過去10年のデータを検証してみたい。
2010年6月宝塚記念(G1)ナカヤマフェスタ

写真:競馬ブック

Check31番人気の信頼性は下降気味

 過去10年、1番人気が連対率60%、2~3番人気も30%と、上位人気は上々の成績。人気薄の好走も見られるものの、最低でも11番人気(05年スイープトウショウ1着、08年インティライミ3着)まで。3連単は導入された05年こそ17万馬券だったが、その後は10630円(一昨年)~77160円(昨年)の範囲。ガチガチに終わる年がない一方で、とんでもない大波乱もなく決着している。
ただ、注意したいのは1番人気の信頼性が低下傾向にあること。以前は1番人気が安定したレースとして知られ、90年から02年にかけては1番人気13頭中12頭が連対。20年前から11年前(91~00年)の10年では【6.3.0.1】を記録していた。しかし、過去10年は【3.3.1.3】で、06年のディープインパクト以降は4連敗中。特に馬単、3連単1着候補として考える場合は注意が必要だ。

【人気別成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 3-3-1-3 30.0% 60.0% 70.0%
2 2-1-1-6 20.0% 30.0% 40.0%
3 1-2-3-4 10.0% 30.0% 60.0%
4 0-1-2-7 0.0% 10.0% 30.0%
5 1-0-0-9 10.0% 10.0% 10.0%
6 1-1-0-8 10.0% 20.0% 20.0%
7 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
8 1-1-1-7 10.0% 20.0% 30.0%
9 0-0-1-9 0.0% 0.0% 10.0%
10 0-1-0-9 0.0% 10.0% 10.0%
11 1-0-1-8 10.0% 10.0% 20.0%
12~ 0-0-0-37 0.0% 0.0% 0.0%
【上位人気の成績変化】
人気 91~00年 01~10年
  成績 勝率 連対率 成績 勝率 連対率
1 6-3-0-1 60.0% 90.0% 3-3-1-3 30.0% 60.0%
2 3-0-0-7 30.0% 30.0% 2-1-1-6 20.0% 30.0%
3 0-1-3-6 0.0% 10.0% 1-2-3-4 10.0% 30.0%

Check2意外に重要な芝2200m実績

 少々中途半端な距離という印象もある芝2200m戦。しかし過去10年の3着以内馬30頭のうち、21頭は芝2200mでの連対実績があり、距離実績を軽視するのは禁物だ。表は残る9頭のG1実績と前走成績で、そのうち8頭に共通するのが、G1優勝馬か前走で金鯱賞を制していたこと。唯一の例外、ダンツフレームにしてもG1で2着3回の実力馬。距離連対実績がなければ、既にG1で勝ち負けを演じている実績、または中距離のステップレース・金鯱賞を制してくるくらいの勢いが必要だ。

【芝2200m連対実績のなかった好走馬(過去10年)】
馬名 着順 G1実績 前走
02 ダンツフレーム 1 ダービー・2着 安田記念・2着
ツルマルボーイ 2 未経験 金鯱賞・1着
05 スイープトウショウ 1 秋華賞・1着 安田記念・2着
06 ディープインパクト 1 天皇賞(春)・1着 天皇賞(春)・1着
07 メイショウサムソン 2 天皇賞(春)・1着 天皇賞(春)・1着
08 エイシンデピュティ 1 天皇賞(秋)・14着 金鯱賞・1着
09 ドリームジャーニー 1 朝日杯・1着 天皇賞(春)・3着
ディープスカイ 3 ダービー・1着 安田記念・2着
10 アーネストリー 3 未経験 金鯱賞・1着

Check3前走好走馬が中心

 勝ち馬10頭すべて、そして連対馬20頭中18頭が前走3着以内馬。前走4着以下から巻き返したのは連対馬で2頭、3着以内馬でも計5頭に過ぎず、好調を維持して駒を進めてくるのが理想だ。また、前走4着以下の好走馬5頭のうち、4頭は前走連対馬、そして同じく4頭がG1で3着以内の実績を持っていた。G1好走歴がなく、近走も今ひとつに終わっているような馬が、この舞台で突如変身を見せるようなことはない。

【前走着順別成績(過去10年)】
前走着順 成績 勝率 連対率 複勝率
1着 5-5-6-20 13.9% 27.8% 44.4%
2着 3-2-1-15 14.3% 23.8% 28.6%
3着 2-1-0-12 13.3% 20.0% 20.0%
4着以下 0-2-3-70 0.0% 2.7% 6.7%
【前走4着以下からの好走馬(過去10年)】
馬名 人気 着順 前走 前々走 G1実績
04 リンカーン 3 3 天皇賞(春)・13着 阪神大賞典・1着 有馬記念2着
05 ハーツクライ 3 2 天皇賞(春)・5着 大阪杯・2着 ダービー2着
06 ナリタセンチュリー 10 2 天皇賞(春)・12着 (京都記念・1着後休養) ジャパンC5着
バランスオブゲーム 9 3 安田記念・17着 中山記念1着 安田記念3着
08 インティライミ 11 3 金鯱賞・7着 大阪杯・7着 ダービー2着

Check4前走同一レースの1、2着はない!?

 Check3で記した通り前走好走馬が中心のレースだけに、舞台を変えての「再戦」ムードになることもある。ただ、1、2着馬の前走を見ると、同一レースに出走していたのは01年のメイショウドトウ-テイエムオペラオーと、06年のディープインパクト-ナリタセンチュリーのみ。しかも01年は1、2着が逆転し、06年は2着ナリタセンチュリーが休養明けの天皇賞12着から一変。前走同一レースで上位を占めた馬が、前走と同じ順番で好走した例は過去10年皆無だ。違う路線を進んできた馬の組み合わせを軸に、同一レース組なら順位の逆転や下位からの一変を考慮した馬券作戦が有効だろう。

【1、2着馬の前走(過去10年)】
1着馬と前走 2着馬と前走
01 メイショウドトウ 天皇賞(春)・2着 テイエムオペラオー 天皇賞(春)・1着
02 ダンツフレーム 安田記念・2着 ツルマルボーイ 金鯱賞・1着
03 ヒシミラクル 天皇賞(春)・1着 ツルマルボーイ 金鯱賞・2着
04 タップダンスシチー 金鯱賞・1着 シルクフェイマス 天皇賞(春)・3着
05 スイープトウショウ 安田記念・2着 ハーツクライ 天皇賞(春)・5着
06 ディープインパクト 天皇賞(春)・1着 ナリタセンチュリー 天皇賞(春)・12着
07 アドマイヤムーン QE2世C・3着 メイショウサムソン 天皇賞(春)・1着
08 エイシンデピュティ 金鯱賞・1着 メイショウサムソン 天皇賞(春)・2着
09 ドリームジャーニー 天皇賞(春)・3着 サクラメガワンダー 金鯱賞・1着
10 ナカヤマフェスタ メトロポリタンS・1着 ブエナビスタ ヴィクトリアM・1着

第16回 マーメイドステークス(G3)

6月19日(日) 阪神競馬場 芝2000m

 96年に新設され、牝馬限定の別定戦として阪神競馬場の芝2000mを舞台に行われてきたマーメイドS。ハイレベルのメンバーが揃い、97年にはエアグルーヴ、99年はエリモエクセル、04年はアドマイヤグルーヴなどのG1馬が勝利してきた。ところが06年にヴィクトリアマイル(G1)が創設されると、マーメイドSはハンデ戦となり、レースの傾向は一変。過去5年の勝ち馬のすべてが重賞初制覇で、3連単は30万、3万、193万、12万、9万と大荒れ。ハンデ戦となった06年以降のデータから、傾向を探っていく。なお、06年は阪神競馬場がリニューアル工事を行っていたため、京都競馬場で開催された。
2010年6月マーメイドS(G3)ブライティアパルス

写真:競馬ブック

Check3単勝5.0倍以上の馬にチャンス

 ハンデ戦になって以降、1番人気は【0.0.0.5】で3着以内に1度も来ていない。2~5番人気が【2.3.3.12】で複勝率40%と健闘している。単勝オッズ別では4.9倍以下は【1.0.0.9】で、07年に勝利したディアチャンス以外は、すべてが4着以下と不振。対して5.0~9.9倍が【1.3.2.7】で複勝率46.1%と安定している。ただし、10倍以上も【3.2.3.39】で3着以内に8頭も入っている。

【単勝オッズ別の成績(過去5年)】
オッズ 成績 勝率 連対率 複勝率
~3.9 0-0-0-3 0.0% 0.0% 0.0%
4.0~4.9 1-0-0-6 14.3% 14.3% 14.3%
5.0~6.9 1-2-1-3 14.3% 42.9% 57.1%
7.0~9.9 0-1-1-4 0.0% 16.7% 33.3%
10.0~14.9 0-0-2-8 0.0% 0.0% 20.0%
15.0~19.9 1-0-0-3 25.0% 25.0% 25.0%
20.0~29.9 1-0-0-10 9.1% 9.1% 9.1%
30.0~49.9 0-2-1-8 0.0% 18.2% 27.3%
50.0~99.9 0-0-0-7 0.0% 0.0% 0.0%
100.0~ 1-0-0-3 25.0% 25.0% 25.0%

Check253キロ以下が強く、49キロ以下も侮れない

 斤量別の成績では軽ハンデ馬が強く、重いハンデは不振と、はっきりと分かれた。とくに54キロ以上は苦戦しており、好走したのは07年2着のサンレイジャスパー(54キロ)、09年2着のリトルアマポーラ(56.5キロ)の2頭だけ。残りの27頭は4着以下に敗れた。一方、53キロ以下の軽ハンデ馬は、過去5年の3着以内15頭の内、13頭を占めている。08年に勝利したトーホウシャイン(48キロ)、06年の勝ち馬ソリッドプラチナム(49キロ)など、50キロ以下の超軽量馬も活躍している。

【斤量別の成績(過去5年)】
斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率
~49kg 2-0-0-2 50.0% 50.0% 50.0%
49.5~51kg 0-1-1-14 0.0% 6.3% 12.5%
51.5~53kg 3-3-3-12 14.3% 28.6% 42.9%
53.5~55kg 0-1-0-17 0.0% 5.6% 5.6%
55.5~57kg 0-0-1-10 0.0% 0.0% 9.1%

Check35、6歳を中心に、4歳馬は3着固定で狙え

 年齢別の成績はどうだろうか。3歳と7歳以上はほとんど出走しておらず、中心は4~6歳だ。3着以内に入った数は4歳が5頭、5歳が5頭、6歳が4頭とほぼ互角。しかし4歳は1着がなく、3着が4回と多い。それに対して、5歳と6歳は1、2着が多い。馬連や馬単なら5、6歳を中心に、4歳は3着固定で狙うと面白い。

【年齢別の成績(過去5年)】
年齢 成績 勝率 連対率 複勝率
3歳 1-0-0-1 50.0% 50.0% 50.0%
4歳 0-1-4-17 0.0% 4.5% 22.7%
5歳 2-2-1-27 6.3% 12.5% 15.6%
6歳 2-2-0-8 16.7% 33.3% 33.3%
7歳以上 0-0-0-2 0.0% 0.0% 0.0%

Check4ヴィクトリアマイルの成績はアテにならない

 前走のレース別の成績では、出走数ではG1のヴィクトリアマイルが多かったが、成績は【0.1.2.18】とやや不振。それ以外のレースでは福島牝馬Sが【0.0.0.5】と目立つぐらいで、残りはバラバラ。ではヴィクトリアマイルを使った馬の傾向はどうだろうか。ヴィクトリアマイルで好走したヒカルアマランサス(10年2着)と、ニシノブルームーン(10年3着)は、マーメイドSでは5、4着。一方、マーメイドSで好走した3頭は、いずれもヴィクトリアマイルでは4着以下。正反対の成績となった。また、ヴィクトリアマイルを使ってマーメイドSで1~3番人気に支持された馬は8頭いるが、09年のリトルアマポーラが3着になった以外はすべて4着以下。G1のヴィクトリアマイルで好走したり、その結果人気を集めた馬は、あまり成績がよくない。

【主な前走ヴィクトリアマイル組のマーメイドSの成績(過去5年)】
馬名 マーメイドS ヴィクトリアマイル
人気 着順 人気 着順
06 マイネサマンサ 2 4 10 10
06 ヤマニンシュクル 1 8 5 7
07 サンレイジャスパー 5 2 16 14
07 ソリッドプラチナム 6 3 17 16
07 コスモマーベラス 1 8 10 15
08 ベッラレイア 1 5 3 8
09 リトルアマポーラ 2 3 3 6
09 ザレマ 3 10 4 4
10 ニシノブルームーン 1 4 11 3
10 ヒカルアマランサス 2 5 8 2

Check4前走距離は2000mがベスト、1800mも悪くない

 前走のレース別の成績は、あまり参考にならなかったが、距離別ならはっきりとした傾向が出た。マーメイドSと同距離の2000mを使った馬が【2.2.1.9】で最も成績がよく、1800mが【3.2.1.15】で続く。そして1600mは【0.1.2.22】とイマイチ。また、2100m以上を使った距離短縮組は【0.0.0.4】と結果が出ていない。

【前走距離別の成績(過去10年)】
前走距離 成績 勝率 連対率 複勝率
~1500m 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%
1600m 0-1-2-22 0.0% 4.0% 12.0%
1700m 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%
1800m 3-2-1-15 14.3% 23.8% 28.6%
2000m 2-2-1-9 14.3% 28.6% 35.7%
2100m~ 0-0-0-4 0.0% 0.0% 0.0%

Check4前走はオープン特別と1600万下組が好成績

 前走の格は、気にする必要はない。実力上位の重賞組は不振傾向で、とくにG2からの参戦は、7頭すべてが4着以下に敗れている。それに対して、オープン特別組は【2.1.0.6】で複勝率33.3%、1600万下組は【1.2.3.8】で複勝率42.9%と好成績を収めている。また、条件戦を使ってマーメイドSで3着以内に入った馬は7頭いるが、そのうち条件戦で勝ったのは3頭で、条件戦で負けていても勝負になっている。

【前走のクラス別成績(過去10年)】
前走クラス 成績 勝率 連対率 複勝率
500万下 0-0-0-3 0.0% 0.0% 0.0%
1000万下 1-0-0-4 20.0% 20.0% 20.0%
1600万下 1-2-3-8 7.1% 21.4% 42.9%
オープン特別 2-1-0-6 22.2% 33.3% 33.3%
G3 1-1-0-8 10.0% 20.0% 20.0%
G2 0-0-0-7 0.0% 0.0% 0.0%
G1 0-1-2-19 0.0% 4.5% 13.6%