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第61回 安田記念(G1)

6月5日(日)東京競馬場 芝1600m

 春のマイル王決定戦、安田記念。07年から一昨年までは、G1・3勝を挙げていたダイワメジャーに、ウオッカの2連勝と、競馬史に名を残す馬が優勝馬に名を連ねていた。ところが昨年は、ショウワモダンの激走などがあって大波乱。G1格付け後の勝ち馬を見ても、オグリキャップやタイキシャトルのような名馬あり、安田記念の時点ではまだ実績不足・人気薄だったバンブーメモリーやヤマニンゼファーといった名前もありと、つかみ所のないことが伝統にもなりつつある一戦だ。今年は文句なしの名馬となったアパパネがさらにタイトルを加えるのか、それとも思わぬ馬が勝利を手にするのか、はたまた5年振りの外国馬の優勝か。過去10年のデータを見てみよう。
2010年6月安田記念(G1)ショウワモダン

写真:競馬ブック

Check310番人気まで好走確率は互角

 過去10年、1番人気で連対したのは一昨年の優勝馬・ウオッカのみ。2番人気は4連対と上々だが、3番人気は2連対にとどまっており、1~3番人気合計では【4.3.1.22】連対率23.3%と今ひとつに終わっている。その分、ひと桁人気後半に好走馬が多く、特に複勝率では1番人気から10番人気までほぼ互角と言える成績。11番人気以下の好走は10年前、01年のブレイクタイム2着までさかのぼらねばならないが、10番人気以内なら穴っぽい馬を積極的に拾っていったほうが馬券妙味は高い。

【人気別成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1 1-0-1-8 10.0% 10.0% 20.0%
2 2-2-0-6 20.0% 40.0% 40.0%
3 1-1-0-8 10.0% 20.0% 20.0%
4 1-1-1-7 10.0% 20.0% 30.0%
5 0-1-3-6 0.0% 10.0% 40.0%
6 1-2-0-7 10.0% 30.0% 30.0%
7 2-0-1-7 20.0% 20.0% 30.0%
8 1-0-1-8 10.0% 10.0% 20.0%
9 1-0-2-7 10.0% 10.0% 30.0%
10 0-2-1-7 0.0% 20.0% 30.0%
11~ 0-1-0-79 0.0% 1.3% 1.3%

Check2牡・セン馬の1着候補なら6歳以上

 古馬G1というと、成長著しい4歳馬、充実期の5歳馬あたりに目がいきがちだが、安田記念を制した4、5歳馬はのべ2頭だけ。その2頭は2連勝した牝馬・ウオッカで、4、5歳の牡・セン馬は過去10年未勝利に終わっている。最後に勝ったのは00年のフェアリーキングプローン、日本馬では99年のエアジハード。牡・セン馬から1着候補を選ぶなら、6歳以上の古豪に注目したい。また、牝馬は前述のウオッカなど過去10年【2.1.1.18】連対率13.6%で、牡・セン馬【8.9.9.132】連対率10.8%を上回る。10年以上前にもダイイチルビーやノースフライトが勝ったほか、2着にもイクノディクタスやトーワルビーなどがおり、牡・セン馬と互角以上に評価できる。

【性齢別成績(過去10年)】
性別 年齢 成績 勝率 連対率 複勝率
牡・セン馬 8-9-9-132 5.1% 10.8% 16.5%
3歳 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%
4歳 0-4-3-28 0.0% 11.4% 20.0%
5歳 0-2-2-43 0.0% 4.3% 8.5%
6歳 6-0-4-34 13.6% 13.6% 22.7%
7歳上 2-3-0-26 6.5% 16.1% 16.1%
牝馬 2-1-1-18 9.1% 13.6% 18.2%
3歳 出走なし
4歳 1-1-0-8 10.0% 20.0% 20.0%
5歳 1-0-0-9 10.0% 10.0% 10.0%
6歳 0-0-1-0 0.0% 0.0% 100.0%
7歳上 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%

Check3「別路線組」に注目

 前走レース別では、京王杯スプリングC組とマイラーズC組で出走馬の半数ほどを占め、主要な前哨戦となっている。しかし、マイラーズC組は【0.2.5.23】で勝ち馬が出ておらず、京王杯スプリングC組も【2.2.1.51】と多数の出走馬がいる割に好走馬は多くない。特に過去5年の京王杯スプリングC組は【0.0.1.23】と大不振(マイラーズCは5年【0.2.2.13】)。2レース10年の合計は【2.4.6.74】連対率7.0%止まり。その他のレースはトータル【8.6.4.76】連対率14.9%で、連対率は京王杯・マイラーズC組の倍以上と、注目すべきは別路線組だ。

【前走レース別成績(国内好走馬輩出レース・過去10年)】
前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率
京王杯SC 2-2-1-51 3.6% 7.1% 8.9%
ヴィクトリアM 2-0-1-7 20.0% 20.0% 30.0%
大阪杯 1-1-1-2 20.0% 40.0% 60.0%
高松宮記念 1-0-0-3 25.0% 25.0% 25.0%
かきつばた記念 1-0-0-2 33.3% 33.3% 33.3%
メイS 1-0-0-0 100.0% 100.0% 100.0%
マイラーズC 0-2-5-23 0.0% 6.7% 23.3%
都大路S 0-1-0-9 0.0% 10.0% 10.0%
京阪杯 0-1-0-0 0.0% 100.0% 100.0%
オアシスS 0-1-0-0 0.0% 100.0% 100.0%

Check4外国馬は近走の好調さがカギ

 近年の外国馬は香港勢が中心。そのほとんどが、チャンピオンズマイルからこの安田記念に駒を進めている。好走した4頭に共通するのは、そのチャンピオンズマイルで3着以内、かつ勝ち馬から0.4秒差以内だったことがひとつ。そしてもうひとつは、年明け以降に1勝・2連対以上していたこと。外国馬なら好調を維持して日本に乗り込んでいることが条件だ。

【外国馬の好走馬(過去10年)】
馬名 人気 着順 前走 年明け成績
  月日 レース 着順  
05 サイレントウィットネス 5 3 5/14 チャンピオンズM 2 0.0 4-1-0-0
06 ブリッシュラック 3 1 5/7 チャンピオンズM 1 - 1-1-0-3
ジョイフルウィナー 8 3 5/7 チャンピオンズM 3 0.4 3-0-1-1
08 アルマダ 5 2 4/27 チャンピオンズM 2 0.2 1-1-0-1

第16回 ユニコーンステークス(G3)

6月4日(土)東京競馬場 ダート1600m

 3歳馬限定によるダート重賞競走、ユニコーンSが東京競馬場の1600mで行われる。ダート適性のある3歳馬にとっては、中央競馬の春シーズン最高の舞台であり、毎年将来のダート界を背負う精鋭が顔をそろえる。00年の優勝馬アグネスデジタルが国内外のG1を6勝、05年の優勝馬カネヒキリがG1を7勝、03年の勝ち馬ユートピアが海外G2ゴドルフィンマイルを制するなど、歴代勝ち馬には大物が名を連ねている。広くて直線の長い東京競馬場が舞台のため、比較的人気馬が実力通りの結果を残しているが、細かい傾向はどうなっているのだろうか。
2010年6月ユニコーンステークス(G3)バーディバーディ

写真:競馬ブック

Check31番人気を中心に、7番人気までの争い

1番人気が4連勝中で、【6.2.0.2】と信頼度は高い。4着以下に敗れたのは、04年のカフェオリンポスと06年のアエローザの2頭。カフェオリンポスは2月以来のレースで、アエローザは初ダートだった。1~7番人気が【10.10.9.41】で3着以内30頭中29頭を占める。8番人気以下は、01年にアップアンドカマー(14番人気)が3着に来たのみ。毎年16頭のフルゲートになるが、過去10年の人気からは1~7番人気までの争いと考えてよい。

【人気別成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気 6-2-0-2 60.0% 80.0% 80.0%
2番人気 0-4-1-5 0.0% 40.0% 50.0%
3番人気 1-1-2-6 10.0% 20.0% 40.0%
4番人気 1-1-2-6 10.0% 20.0% 40.0%
5番人気 1-1-1-7 10.0% 20.0% 30.0%
6番人気 0-0-2-8 0.0% 0.0% 20.0%
7番人気 1-1-1-7 10.0% 20.0% 30.0%
8番人気 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
9番人気 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
10番人気以下 0-0-1-68 0.0% 0.0% 1.4%

Check2ダートの交流重賞かオープン特別組が強い

 前走どんなレースに出走した馬がユニコーンSで活躍しているだろうか。約1カ月ほど前に行われる交流重賞、兵庫チャンピオンシップを使った馬が【1.3.2.5】で複勝率54.5%と好走確率が高い。1800mの端午Sや1700mの昇竜Sなどダートのオープン特別組も安定している。500万下を勝ったばかりの馬は、06年にナイキアースワークが勝利したのみで【1.1.1.38】とクラスの壁に阻まれる傾向にある。また、前走芝のレースを使った馬はG1のNHKマイルCが【1.2.2.14】とソコソコだが、それ以外のレースはほぼ全滅。

【前走レース別の成績(過去10年、主なレース)】
前走レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
端午S 3-2-0-11 18.8% 31.3% 31.3%
昇竜S 3-1-3-23 10.0% 13.3% 23.3%
兵庫チャンピオンシップ 1-3-2-5 9.1% 36.4% 54.5%
NHKマイルC 1-2-2-14 5.3% 15.8% 26.3%
500万下 1-1-1-38 2.4% 4.9% 7.3%
五月会 1-0-0-0 100.0% 100.0% 100.0%
ファルコンS 0-1-0-0 0.0% 100.0% 100.0%
芝のG2 0-0-1-7 0.0% 0.0% 12.5%
ヒヤシンスS 0-0-1-3 0.0% 0.0% 25.0%
伏竜S 0-0-0-3 0.0% 0.0% 0.0%
葵S 0-0-0-8 0.0% 0.0% 0.0%
プリンシパルS 0-0-0-8 0.0% 0.0% 0.0%
橘S 0-0-0-3 0.0% 0.0% 0.0%

Check3端午S勝ち馬は買い、負けていれば見送り

 端午S組は最近6年で5頭の連対馬を輩出しており、過去10年では【3.2.0.11】と複勝率31.3%を記録している。ただし、端午S1着馬は【3.2.0.1】とほぼパーフェクトなのに対して、端午Sで敗れた馬は【0.0.0.10】で全滅。05年にデイフラッシュが4着したのが最高着順だ。ちなみに端午S1着で唯一大敗したイシヤクマッハ(01年10着)は、このユニコーンSが13戦目と少々使いすぎていたようだ。

【前走端午S勝ち馬の成績(過去10年)】
馬名 ユニコーンS 端午S
人気 人気 着順 着順
01 イシヤクマッハ 2 10 1 1
02 マイネルプロスパー 11 14 8 5
04 アイファーフクオー 3 13 5 2
05 カネヒキリ 1 1 1 1
05 デイフラッシュ 8 4 2 3
05 コウジンアルス 16 16 14 11
06 ヤマタケゴールデン 7 2 6 1
07 ロングプライド 1 1 1 1
09 シルクメビウス 1 1 3 1
09 メトロノース 9 6 5 7
10 タイムカード 5 9 5 3
10 バトードール 2 2 6 1
10 バルーン 9 7 15 4
10 コウユーヒーロー 16 8 16 12
10 ココカラ 14 12 9 9
10 ノボクン 15 14 14 14

Check4前走1400m以下は絶望的

 前走の距離から導かれる傾向はどのようなものだろうか。ユニコーンS3着以内の30頭のうち、29頭が前走1600m以上のレースに出走していた。東京のダート1600mは、コースが広くて直線が長いため、総合力が試されるタフなレースとなり、スタミナのない馬にとっては厳しい。唯一の例外は、08年に芝1200mのファルコンSを使って2着に来たシルクビッグタイム。この年はユビキタスが圧倒的に強く、2着以下に7馬身差をつけたため、レースのレベルがイマイチだった。

【前走の距離別成績(過去10年)】
前走距離 成績 勝率 連対率 複勝率
1300m以下 0-1-0-13 0.0% 7.1% 7.1%
1400m 0-0-0-22 0.0% 0.0% 0.0%
1600m 1-3-3-28 2.9% 11.4% 20.0%
1700m 4-1-3-25 12.1% 15.2% 24.2%
1800m 4-2-1-22 13.8% 20.7% 24.1%
2000m以上 0-0-1-13 0.0% 0.0% 7.1%

Check4前走ダートなら連対していること

 前走の着順はどうだろうか。ユニコーンS3着以内の30頭のうち、前走1、2着馬が【9.7.6.53】と強く、22頭を占めている。残りの8頭は前走3着以下で、その内訳はNHKマイルCが5頭、青葉賞が1頭、ファルコンSが1頭、そして昇竜Sが1頭。前走ダートを使って3着以下から巻き返したのは01年に昇竜S4着だったアップアンドカマーのみ。前走ダートなら勝ち負けしていないと厳しい。

【前走の着順別成績(過去10年)】
前走着順 成績 勝率 連対率 複勝率
前走1着 8-6-4-45 12.7% 22.2% 28.6%
前走2着 1-1-2-8 8.3% 16.7% 33.3%
前走3着 0-0-0-6 0.0% 0.0% 0.0%
前走4着 1-1-1-8 9.1% 18.2% 27.3%
前走5着 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%
前走6~9着 0-2-2-17 0.0% 9.5% 19.0%
前走10着以下 0-0-1-40 0.0% 0.0% 2.4%

Check4迷ったら関東馬は消し!

 最近のマイル重賞は関東馬の健闘が目立っているが、このユニコーンSはどうだろうか。関東馬が【1.4.3.72】で複勝率10.0パーセントに対して、関西馬は【8.6.7.54】で複勝率28.0%と圧倒している。関東馬で勝利したのは08年のユビキタスのみ。ここは素直に関西馬を信頼しよう!

【所属別の成績(過去10年)】
所属 成績 勝率 連対率 複勝率
関東馬 1-4-3-72 1.3% 6.3% 10.0%
関西馬 8-6-7-54 10.7% 18.7% 28.0%
地方馬 1-0-0-3 25.0% 25.0% 25.0%