第6回 ヴィクトリアマイル(G1)

5月15日(日)東京競馬場 芝1600m

 06年に春の古牝馬によるG1競走として創設されたこのレース。まだ今年で6回目だが、過去の優勝馬には、顕彰馬に選出されたウオッカを筆頭に、ブエナビスタ、ダンスインザムードといった名牝が名を連ねている。しかし一方で、07年には12番人気のコイウタが優勝するなど上位を人気薄が独占して、3連単は200万馬券。また、ウオッカが人気に応えた一昨年も2、3着には人気薄が入って8万馬券と、牝馬戦らしく波乱の可能性も大いにあるレースだ。そんなヴィクトリアマイルの過去5回の傾向を振り返ってみよう。
2010年5月ヴィクトリアマイル(G1)ブエナビスタ

写真:競馬ブック

Check3上位人気なら牡馬相手の中~長距離G1好走馬

 過去5回、1番人気は【2.1.0.2】、2番人気は【1.0.0.4】で、合わせて4連対。この連対した4頭に共通するのは、ウオッカの日本ダービー優勝や、ブエナビスタの有馬記念2着など、牡馬相手の中~長距離G1で連対実績を持っていたこと。連対を外した6頭のうち、07年9着のスイープトウショウ(宝塚記念優勝馬)を除く5頭には、牡馬混合の中~長距離G1連対実績がなかった。人気に応えて好走するには、強力な牡馬相手に好走した実績が必須だ。また、1番人気が連対した3回は2~3番人気がいずれも馬券圏外に敗退。1番人気を軸にするなら、相手には4番人気以下を拾いたい。

【1、2番人気馬の成績と、牡馬相手中~長距離G1実績】
馬名 人気 着順 牡馬相手2000m上G1 1~3着馬人気
06 ラインクラフト 1 9 未経験 2 3 4
ダンスインザムード 2 1 天皇賞(秋)2着
07 カワカミプリンセス 1 10 未経験 12 9 8
スイープトウショウ 2 9 宝塚記念1着
08 ウオッカ 1 2 ダービー1着 5 1 4
ニシノマナムスメ 2 5 未経験
09 ウオッカ 1 1 ダービー1着 1 11 7
カワカミプリンセス 2 8 宝塚記念6着
10 ブエナビスタ 1 1 有馬記念2着 1 8 11
レッドディザイア 2 4 ジャパンC3着

Check23番人気以下なら近走好調馬

一方、3番人気以下になると、牝馬限定のG1でさえ好走実績のない馬でも上位に多く食い込んでいる。この3番人気以下で特長的なのは、創設当初はG1好走実績馬ばかりだったのが、08年以降は一転、G1未経験馬の好走が増えたこと。08年以降の好走馬6頭のうち、G1未経験馬が4頭を占め、残る2頭も掲示板に載ったことがない馬だった。また、その6頭のうち5頭は前走、または前々走の1着馬で、残る1頭・ブルーメンブラットも前走2着。3番人気以下ならG1実績よりも近走の好調さがカギになっている近年の傾向だ。

【3番人気以下の好走馬と、近走成績・G1実績】
馬名 人気 着順 前走 前々走 G1実績
06 エアメサイア 3 2 阪神牝馬S2着 中山記念3着 秋華賞1着
ディアデラノビア 4 3 マイラーズC3着 中山牝馬S2着 オークス3着
07 コイウタ 12 1 ダービー卿CT2着 東風S13着 桜花賞3着
アサヒライジング 9 2 阪神牝馬8着 中山牝馬S13着 秋華賞2着
デアリングハート 8 3 ダービー卿CT6着 マイルCS13着 NHKマイルC2着
08 エイジアンウインズ 5 1 阪神牝馬S1着 心斎橋S1着 未経験
ブルーメンブラット 4 3 阪神牝馬S2着 京都牝馬S4着 ヴィクトリアM8着
09 ブラボーデイジー 11 2 福島牝馬S1着 中山牝馬S6着 未経験
ショウナンラノビア 7 3 卯月S1着 仲春特別1着 未経験
10 ヒカルアマランサス 8 2 阪神牝馬S13着 京都牝馬S1着 未経験
ニシノブルームーン 11 3 中山牝馬S1着 愛知杯5着 女王杯13着

Check3内枠の先行馬に要注目

 枠番別の成績では、3着以内馬15頭中9頭が1~3番枠。勝ち馬は5頭中4頭が3枠以内から出ており、内枠優勢の傾向にある。その内枠を引いた馬でも、特に注目したいのは先行しそうな馬。3枠以内から好走した9頭のうち8頭が3コーナー6番手以内で、残る1頭・ブルーメンブラットも通過順は7-7-4で4コーナーは4番手で通過している。 また、2つめの表にあるように、3コーナーを6番手以内で通過した好走馬9頭のうち、デアリングハートを除く8頭がこの1~3枠を引いた馬でもあった。「内枠を買うなら先行馬」、その裏返しになる「先行馬を買うなら内枠」ともに「真」と言えよう。

【枠番別成績】
枠番 成績 勝率 連対率 複勝率
1枠 1-2-2-5 10.0% 30.0% 50.0%
2枠 1-1-0-8 10.0% 20.0% 20.0%
3枠 2-0-0-8 20.0% 20.0% 20.0%
4枠 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
5枠 0-1-1-8 0.0% 10.0% 20.0%
6枠 1-0-0-9 10.0% 10.0% 10.0%
7枠 0-0-1-14 0.0% 0.0% 6.7%
8枠 0-1-1-13 0.0% 6.7% 13.3%
【3コーナー6番手以内からの好走馬】
馬名 通過順 人気 着順
06 1 1 ダンスインザムード 4-5-6 2 1
07 2 4 コイウタ 6-6-6 12 1
2 3 アサヒライジング 1-1-1 9 2
8 16 デアリングハート 6-6-6 8 3
08 3 6 エイジアンウインズ 4-6-7 5 1
09 3 6 ウオッカ 6-5-4 1 1
1 2 ブラボーデイジー 3-4-4 11 2
1 1 ショウナンラノビア 1-1-1 7 3
10 1 2 ヒカルアマランサス 4-4-4 8 2

Check4牝馬限定・G3組で狙えるのは優勝馬のみ

前走レース別で好走馬が多いのは海外(ドバイ)遠征組と、最重要前哨戦となる阪神牝馬S組。その阪神牝馬Sと並んで出走馬の多い福島牝馬S組は【0.1.0.24】と大不振で、中山牝馬S組も【0.0.1.3】。ほかに牝馬限定G3は京都牝馬Sも【0.0.0.1】で、あわせて【0.1.1.28】連対率3.3%に過ぎない。好走した2頭は福島牝馬S1着→本競走2着のブラボーデイジー、そして中山牝馬S1着→本競走3着のニシノブルームーン。前走牝馬限定G3なら、そこで勝っていることが条件になる。

【前走レース別成績(好走馬輩出レース)】
前走 成績 勝率 連対率 複勝率
(海外) 2-1-0-1 50.0% 75.0% 75.0%
阪神牝馬S 1-3-1-25 3.3% 13.3% 16.7%
マイラーズC 1-0-1-5 14.3% 14.3% 28.6%
ダービー卿CT 1-0-1-1 33.3% 33.3% 66.7%
福島牝馬S 0-1-0-24 0.0% 4.0% 4.0%
中山牝馬S 0-0-1-3 0.0% 0.0% 25.0%
卯月S 0-0-1-0 0.0% 0.0% 100.0%
(牝馬限定G3計) 0-1-1-28 0.0% 3.3% 6.7%

第56回 京王杯スプリングC(G2)

5月14日(土)東京競馬場 芝1400m

 安田記念のステップレースである京王杯SC。01年3着のブラックホークと、05年に優勝したアサクサデンエンが、続く安田記念を制して春のマイル王に輝いている。距離が1400mのためか、マイラーとスプリンターが混在し、さらに安田記念が目標の馬にとっては叩き台という意味合いがあるため、一筋縄ではいかない難解なレースとなっている。昨年は10番人気のサンクスノートが優勝。09年は8番人気のスズカコーズウェイと2年連続で穴馬が台頭している。今年も荒れるのか、それとも本命馬が強さを見せつけるのか。競馬ファン必見の京王杯SCをひも解いていく。
2010年5月京王杯SC(G2)サンクスノート

写真:競馬ブック

Check34番人気が不振

  1番人気は【0.0.2.8】で1、2着馬を輩出しておらず不振。4番人気も【0.0.0.10】と全滅だが、それ以外の上位人気馬は悪くない。2、3、5、6番人気はトータルで【7.8.5.20】と複勝率がちょうど5割で信頼性が高い。単勝オッズなら、5.0~14.9倍が【7.6.5.31】で複勝率36.7%と安定している。また、二ケタ人気は【2.0.0.77】と振るわず、2頭の勝ち馬は10、11番人気。極端な人気薄には厳しい結果が出ている。

【人気別の成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気 0-0-2-8 0.0% 0.0% 20.0%
2番人気 3-0-3-4 30.0% 30.0% 60.0%
3番人気 1-1-2-6 10.0% 20.0% 40.0%
4番人気 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0%
5番人気 2-4-0-4 20.0% 60.0% 60.0%
6番人気 1-3-0-6 10.0% 40.0% 40.0%
7~9番人気 1-2-3-24 3.3% 10.0% 20.0%
10~18番人気 2-0-0-77 2.5% 2.5% 2.5%

Check2前走オープン特別は不振だが、1600万下は悪くない

 ステップレースはマイラーズC、ダービー卿CT、高松宮記念の3レースが中心だ。その中でも高松宮記念の勝ち馬は【1.0.0.3】で、06年にオレハマッテルゼが勝利した以外は、凡走している。また、このレースはG2の別定戦で好メンバーが揃うためか、格下のオープン特別組は【0.2.1.41】と結果を残せていない。ただし1600万下を勝った上がり馬は、09年にスズカコーズウェイが勝つなど【1.2.1.8】と健闘している。

【前走レース別の成績(過去10年)】
前走レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
マイラーズC 3-1-2-15 14.3% 19.0% 28.6%
ダービー卿CT 2-2-1-21 7.7% 15.4% 19.2%
高松宮記念 2-1-4-25 6.3% 9.4% 21.9%
阪神牝馬S 1-1-0-4 16.7% 33.3% 33.3%
1600万下 1-2-1-8 8.3% 25.0% 33.3%
東京新聞杯 1-0-0-4 20.0% 20.0% 20.0%
オープン特別 0-2-1-41 0.0% 4.5% 6.8%
香港マイル 0-1-0-1 0.0% 50.0% 50.0%
ドバイゴールデンシャヒーン 0-0-1-0 0.0% 0.0% 100.0%

Check34コーナーを先頭か2番手で通過する馬が狙い目

 東京競馬場の芝コースは、直線が525mもあるため、逃げ馬には不利のように思われる。しかし、芝1400mの場合は、スタートして350mほどで3コーナーになるため、比較的ペースが落ち着く傾向にある。過去10年の東京芝1400mの脚質別の成績は、逃げ馬が複勝率38.2%をマークしており、先行馬29.6%よりも高い。この京王杯SCでも4コーナーを先頭もしくは2番手で通過した馬は、4勝しており【4.0.2.18】と好成績を残している。自分でレースを作れる馬を狙ってみるのもひとつの手だ。

【4コーナーの位置取り別の成績(過去10年)】
4角位置 着別度数 勝率 連対率 複勝率
1番手 2-0-1-7 20.0% 20.0% 30.0%
2番手 2-0-1-11 14.3% 14.3% 21.4%
3番手 0-0-0-9 0.0% 0.0% 0.0%
4番手 0-3-2-13 0.0% 16.7% 27.8%
5番手 0-0-0-4 0.0% 0.0% 0.0%
6番手 0-1-0-5 0.0% 16.7% 16.7%
7番手以下 6-6-6-90 5.6% 11.1% 16.7%

Check45歳でキャリア16~20戦の馬が中心

 年齢別では4連勝中の5歳馬が【5.4.1.33】と最も安定している。キャリア別では16~20戦の馬が【5.4.1.20】と好走確率が高い。キャリア10戦以下は、01年にスカイアンドリュウが2着したのみで【0.1.0.11】。31戦以上レースに出走していたベテランは【0.1.2.36】で、複勝率7.7%。あまりレースを使っていなかった馬と、たくさんレースに出走していた馬は苦戦傾向だ。

【キャリア別の成績(過去10年)】
キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率
10戦以下 0-1-0-11 0.0% 8.3% 8.3%
11~15戦 3-0-2-25 10.0% 10.0% 16.7%
16~20戦 5-4-1-20 16.7% 30.0% 33.3%
21~30戦 2-4-5-47 3.4% 10.3% 19.0%
31戦以上 0-1-2-36 0.0% 2.6% 7.7%

Check5人気薄なら外枠を狙うべし!

 過去10年でのべ169頭が出走し、毎年フルゲートか、それに近い多頭数で行われる京王杯SC。そのため道中は位置取り争いが激しくなり、揉まれず競走に専念できる外枠が好成績を残している。とくに人気がない馬は、その傾向が強い。5番人気以下で1~3着に来た馬は、1~4枠が4頭しかいないのに対して、5~8枠は14頭とその差は歴然。穴馬は外枠から狙おう!

【5番人気以下の枠順別成績(過去10年)】
枠番 成績 勝率 連対率 複勝率
1枠 1-0-1-13 6.7% 6.7% 13.3%
2枠 0-0-0-15 0.0% 0.0% 0.0%
3枠 0-1-0-11 0.0% 8.3% 8.3%
4枠 1-0-0-15 6.3% 6.3% 6.3%
5枠 0-4-0-13 0.0% 23.5% 23.5%
6枠 1-1-0-11 7.7% 15.4% 15.4%
7枠 2-1-0-14 11.8% 17.6% 17.6%
8枠 1-2-2-19 4.2% 12.5% 20.8%