第16回 NHKマイルカップ(G1)

5月8日(日)東京競馬場 芝1600m

 今年で16回目を迎える春の3歳マイル王決定戦。歴史は浅いが、過去の優勝馬からはキングカメハメハ、ディープスカイという2頭のダービー馬を輩出。ほかにエルコンドルパサーやクロフネ、イーグルカフェ、シーキングザパールが後にもG1を制するなど、非常にハイレベルな一戦だ。一方で、07年には17番人気のピンクカメオが優勝し3連単は900万馬券。さらに10番人気・ジョーカプチーノが優勝した一昨年には200万馬券が出るなど波乱も多い。今年は新たな名馬が誕生するのか、それとも再び大波乱となるのか。過去10年の傾向を見てみよう。
2010年5月NHKマイルカップ(G1)ダノンシャンティ

写真:競馬ブック

Check3単勝10倍未満は好走確率に大差なし

 単勝1倍台に推された2頭はともに馬券圏内を確保しているが、2倍から9.9倍までは複勝率で30%~40%程度と大差なし。むしろ7.0~9.9倍あたりのほうが高い数字を残している。また、10.0~14.9倍でも複勝率は25.0%と上々で、断然人気の馬がいなければ単勝10倍前後の馬を軸にした馬券に妙味がある。また、単勝20倍以上からも好走馬は計11頭。穴馬も手広く押さえたいレースだ。

【単勝オッズ別の成績(過去10年)】
単勝オッズ 成績 勝率 連対率 複勝率
~1.9 1-0-1-0 50.0% 50.0% 100.0%
2.0~3.9 3-0-0-6 33.3% 33.3% 33.3%
4.0~6.9 1-2-2-11 6.3% 18.8% 31.3%
7.0~9.9 1-2-1-6 10.0% 30.0% 40.0%
10.0~14.9 1-2-1-12 6.3% 18.8% 25.0%
15.0~19.9 0-0-1-10 0.0% 0.0% 9.1%
20.0~29.9 1-2-0-24 3.7% 11.1% 11.1%
30.0~49.9 1-1-1-12 6.7% 13.3% 20.0%
50.0~99.9 1-0-1-40 2.4% 2.4% 4.8%
100.0~ 0-1-2-29 0.0% 3.1% 9.4%

Check2穴なら思い切った作戦を取れる馬

 9番人気以下の好走馬は10年で計10頭。一昨年は先行したジョーカプチーノ、グランプリエンゼルが1、3着に入っているのに対し、07年は後方待機のピンクカメオ、ムラマサノヨートーが1、3着。他の人気薄の好走馬もすべて4コーナー4番手以内か、14番手以下と両極端になっている。穴を狙うなら中団あたりから上手なレースをする馬よりは、前か後ろか思い切った作戦を取れる馬が良さそうだ。

【9番人気以下の好走馬と通過順(過去10年)】
馬名 通過順 人気 着順
01 グラスエイコウオー 1-1-1 13 2
サマーキャンドル 2-2-2 12 3
03 ウインクリューガー 3-2-2 9 1
05 デアリングハート 4-6-4 10 2
06 ファイングレイン 2-3-4 9 2
07 ピンクカメオ 14-13-14 17 1
ムラマサノヨートー 15-13-14 18 3
08 ダノンゴーゴー 18-18-16 14 3
09 ジョーカプチーノ 2-2-2 10 1
グランプリエンゼル 4-3-3 13 3

Check3馬体増は減点材料に

 過去10年の連対馬20頭中17頭、3着以内馬30頭中25頭が、馬体重の前走比でプラス2キロ以下。特に4キロ以上減らしてきた馬の好走確率が高い傾向にある。逆に4キロ以上増えていた馬は計【0.3.2.32】で勝ち馬なし。また、1番人気馬はプラス体重でもダノンシャンティ、キングカメハメハが勝っているが(ともにプラス2キロ)、2~3番人気でプラス体重だった馬は【0.0.0.6】。馬体増の人気馬は疑ってかかりたい。

【馬体重の増減別成績(過去10年)】
増減 成績 勝率 連対率 複勝率
+10kg~+14kg 0-0-0-4 0.0% 0.0% 0.0%
+4kg~+8kg 0-3-2-28 0.0% 9.1% 15.2%
-2kg~+2kg 6-2-4-78 6.7% 8.9% 13.3%
-4kg~-8kg 3-5-4-38 6.0% 16.0% 24.0%
-10kg~-14kg 1-0-0-2 33.3% 33.3% 33.3%

Check4連対馬の前走は毎日杯など5レースのみ

 前走別で優秀な成績を残すのは毎日杯組の【5.0.0.3】。ほかに優勝馬を出しているのはニュージーランドT、桜花賞、スプリングSのみ。また、2着馬を出しているレースも皐月賞しかなく、連対候補はこの5レースの出走馬から選びたい。なお、牝馬は桜花賞組のほかに2頭が3着に入り、トータル【2.1.2.5】複勝率50.0%。牝馬には桜花賞組以外も含め注目は欠かせない。

【連対馬の前走(過去10年)】
前走 成績 勝率 連対率 複勝率
毎日杯 5-0-0-3 62.5% 62.5% 62.5%
ニュージーランドT 2-4-2-61 2.9% 8.7% 11.6%
桜花賞 2-1-0-3 33.3% 50.0% 50.0%
スプリングS 1-2-0-4 14.3% 42.9% 42.9%
皐月賞 0-3-3-23 0.0% 10.3% 20.7%

第59回 京都新聞杯(G2)

5月7日(土)京都競馬場 芝2200m

 長くに渡って菊花賞トライアルとして施行されていたが、00年に旧京都4歳特別の条件を引き継ぐ形で春に移動。現在は日本ダービーへ向けた「東上最終便」として行われている。00年にはこのレース1着のアグネスフライトがダービーも連勝。また、04年1着のハーツクライ、05年1着のインティライミがダービーで2着に好走。ここで2着以下ではダービー出走すら危うい馬が多いが、勝ちさえすれば本番での好走も期待できるレースだ。そんな一戦を過去10年のデータから検証してみよう。
2010年5月京都新聞杯(G2)ゲシュタルト

写真:競馬ブック

Check31番人気馬は疑ってかかるべし?

 単勝オッズ別の成績では、1倍台だったコイントス、チアズシュタルクはともに11着大敗。2倍台の馬も【1.0.1.3】とひと息に終わっている。しかし、3倍台になると連対率55.6%、複勝率77.8%の好成績。人気で見ても1番人気【2.0.2.6】連対率20.0%に対し、2~3番人気【5.3.1.11】同40.0%と、1番人気はやや苦戦傾向にある。また、単勝10倍台後半から20倍台に好走馬が多い点にも注目だ。

【単勝オッズ別の成績(過去10年)】
単勝オッズ 成績 勝率 連対率 複勝率
~1.9 0-0-0-2 0.0% 0.0% 0.0%
2.0~2.9 1-0-1-3 20.0% 20.0% 40.0%
3.0~3.9 4-1-2-2 44.4% 55.6% 77.8%
4.0~4.9 0-1-0-3 0.0% 25.0% 25.0%
5.0~6.9 1-1-0-2 25.0% 50.0% 50.0%
7.0~9.9 0-0-1-5 0.0% 0.0% 16.7%
10.0~14.9 1-1-1-16 5.3% 10.5% 15.8%
15.0~19.9 1-3-1-11 6.3% 25.0% 31.3%
20.0~29.9 1-3-3-11 5.6% 22.2% 38.9%
30.0~49.9 1-0-0-14 6.7% 6.7% 6.7%
50.0~99.9 0-0-1-18 0.0% 0.0% 5.3%
100.0~ 0-0-0-29 0.0% 0.0% 0.0%

Check26番人気以下はもう1頭の人気薄とセットで狙え

 過去10年、6番人気以下が馬券に絡んだのは計6回。その6回すべてで、5番人気以下の馬がもう1頭馬券圏内に絡んでいる。近年では06~08年がこのパターン。1着こそ上位人気馬が占めているが、2~3着はともに5番人気以下で、いずれも3連複は万馬券だった。一方、ここ2年は1~3着馬すべて4番人気以内で、3連複も2840円、1270円。堅いのか荒れるのか、しっかりと見極めて馬券を組み立てたい。

【1~3着馬の人気(過去10年)】
1着馬 2着馬 3着馬
馬名 人気 馬名 人気 馬名 人気
01 テンザンセイザ 8 エイシンスペンサー 6 オースミステイヤー 10
02 ファストタテヤマ 6 キーボランチ 7 マイネルアンブル 8
03 マーブルチーフ 10 チャクラ 8 ウインジーニアス 4
04 ハーツクライ 2 スズカマンボ 3 ミスティックエイジ 1
05 インティライミ 1 コメディアデラルテ 5 アドマイヤフジ 2
06 トーホウアラン 3 アペリティフ 6 マイネルポライト 5
07 タスカータソルテ 2 ローズプレステージ 8 サンライズベガ 9
08 メイショウクオリア 2 ロードアリエス 9 マイネルローゼン 6
09 ベストメンバー 1 デルフォイ 3 ロードロックスター 4
10 ゲシュタルト 3 コスモファントム 2 レーヴドリアン 1

Check3大型馬は苦戦傾向

 中央競馬では480キロ~520キロあたりの馬が高連対率を残すレースが多いが、この京都新聞杯では480キロ以上になると今ひとつ。特に勝ち鞍が少なくなり、480キロ以上の合計では【3.4.6.56】勝率4.4%、連対率10.1%と、好走しても2~3着止まりが多い。480キロ未満は【7.6.4.60】同9.1%、16.9%と、似たような出走数ながら連対馬数では倍近く。迷ったら大型馬よりも中型馬だ。

【馬体重別成績(過去10年)】
馬体重 成績 勝率 連対率 複勝率
~429kg 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%
430kg~439kg 0-1-0-4 0.0% 20.0% 20.0%
440kg~449kg 2-0-1-12 13.3% 13.3% 20.0%
450kg~459kg 1-2-0-14 5.9% 17.6% 17.6%
460kg~469kg 2-1-3-16 9.1% 13.6% 27.3%
470kg~479kg 2-2-0-13 11.8% 23.5% 23.5%
480kg~489kg 1-3-2-25 3.2% 12.9% 19.4%
490kg~499kg 1-1-3-16 4.8% 9.5% 23.8%
500kg~509kg 1-0-0-8 11.1% 11.1% 11.1%
510kg~519kg 0-0-1-2 0.0% 0.0% 33.3%
520kg~ 0-0-0-5 0.0% 0.0% 0.0%

Check4重賞着外馬か条件戦勝ち馬か

 1勝馬でも出走可能なレースだが、前走500万条件出走馬のうち、3着以内に好走した13頭中9頭は前走1着馬。条件戦組ならしっかり勝ってきた馬が狙いになる。一方、重賞組は馬券に絡んだ14頭のうち9頭が前走6着以下の馬。重賞5着以内だった馬は出走馬自体が計10頭と少ないとはいえ、馬券圏内に入った5頭のうち連対したのは2頭で、残る3頭は3着。人気にもなりがちなだけに、馬連や馬単の軸にするにはやや物足りない。

【3着以内好走馬の前走クラスと前走着順(過去10年)】
前走クラス 前走着順
1着 2着 3着 4~5着 6着以下
重賞 0頭 1頭 0頭 4頭 9頭
オープン 0頭 1頭 0頭 0頭 0頭
500万 9頭 2頭 1頭 0頭 1頭
未勝利 2頭 0頭 0頭 0頭 0頭

第33回 新潟大賞典(G3)

5月8日(日)新潟競馬場 芝2000m

 新潟競馬場を舞台に行われるG3のハンデ戦。最後の直線が659mもあるため、毎年、目まぐるしい攻防が繰り広げられる。92年に優勝したメジロパーマーがその後、宝塚記念と有馬記念を制してG1ホースになり、03年には前年の宝塚記念馬ダンツフレームが参戦して勝利するなど、G3のわりに出走馬のレベルが高い。今年はどのようなメンバーが出走して、直線での叩き合いが見られるのだろうか。新潟競馬場が馬場改修工事を行った02年以降、過去9年のデータから傾向を探っていく。
2010年5月新潟大賞典(G3)ゴールデンダリア

写真:競馬ブック

Check31、2番人気が意外と強い

 1、2番人気は【5.2.2.9】で複勝率50%と健闘しており、過去9年で馬連が万馬券になったのは1回のみ。続く3~6番人気は【4.4.2.26】で複勝率27%とマズマズ。7番人気以降は【0.3.5.81】で勝ち馬なし。ただし、3連単は6回中5回が10万円を超える配当になっており、2着か3着に人気薄が来るケースが多い。

【人気別の成績(過去9年)】
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気 3-1-0-5 33.3% 44.4% 44.4%
2番人気 2-1-2-4 22.2% 33.3% 55.6%
3番人気 1-1-0-7 11.1% 22.2% 22.2%
4~6番人気 3-3-2-19 11.1% 22.2% 29.6%
7~9番人気 0-1-1-25 0.0% 3.7% 7.4%
10~18番人気 0-2-4-56 0.0% 3.2% 9.7%

Check2前走は1800、2000mがいいが、大阪杯組は今ひとつ

 新潟大賞典と同じ2000mか、1ハロン短い1800mのレースをステップにした馬が好成績を残している。それに対して、1700m以下と2100m以上は苦戦している。新潟大賞典よりレベルの高いG2日経賞(2500m)からは6頭が出走して【0.0.0.6】で、09年にはアーネストリーが5着に敗れている。また、G1クラスの馬が揃うG2大阪杯は2000mだが、【1.0.1.9】とイマイチ。アドマイヤフジ(09年4着)、サンライズマックス(08年8着)などの実力馬が敗れており、あまり信頼できない。

【前走の距離別の成績(過去9年)】
前走距離 成績 勝率 連対率 複勝率
1700m以下 1-2-0-22 4.0% 12.5% 12.5%
1800m 2-2-2-22 7.1% 14.3% 21.4%
2000m 4-3-5-37 8.2% 14.3% 24.5%
2100m以上 2-2-2-35 4.9% 9.8% 14.6%

Check3前走は6着以内が望ましい

 このレースは前走大敗した馬が一変するケースはあまりない。過去9年の勝ち馬は、8頭が前走5着以内。2着馬は9頭すべてが前走6着以内。前走7着以下に負けた馬にとっては厳しいデータだ。前走大敗してハンデが軽くなったからといって、むやみに狙うのは危険のようだ。

【前走の着順別の成績(過去9年)】
前走着順 成績 勝率 連対率 複勝率
前走1着 2-1-4-17 8.3% 12.5% 29.2%
前走2着 2-1-0-6 22.2% 33.3% 33.3%
前走3着 2-3-0-9 14.3% 35.7% 35.7%
前走4着 1-1-0-18 5.0% 10.0% 10.0%
前走5着 1-2-0-8 9.1% 27.3% 27.3%
前走6着 0-1-2-9 0.0% 8.3% 25.0%
前走7着以下 1-0-3-49 1.9% 1.9% 7.5%

Check4強行軍が好結果をもたらす

 前走からの間隔は、強行軍もしくは2カ月以上がよい。中1~3週はいずれも複勝率20%以上とマズマズ。中4~8週の場合は47頭が出走して、勝ったのが昨年のゴールデンダリアのみで複勝率が12.8%と下がる。通常のレースだと、中4、5週ぐらいは成績がよいはずだが、これは気になる。中9週から半年は【2.1.2.21】で複勝率27.8%と成績がよくなる。

【前走からの間隔別の成績(過去10年)】
間隔 成績 勝率 連対率 複勝率
連闘 0-0-0-2 0.0% 0.0% 0.0%
中1週 2-1-1-13 11.8% 17.6% 23.5%
中2週 2-3-1-20 7.7% 19.2% 23.1%
中3週 2-1-3-24 6.7% 10.0% 20.0%
中4~8週 1-3-2-41 2.1% 8.5% 12.8%
中9週~半年 2-1-2-13 11.1% 16.7% 27.8%
半年以上 0-0-0-3 0.0% 0.0% 0.0%

Check553.5キロ以下と58キロ以上は厳しい

 斤量は重すぎず、軽すぎずという馬が結果を残している。58キロ以上は【1.0.0.4】。59キロを背負ったG1馬ダンツフレームが03年に格の違いを見せて勝利しているが、58キロ台の4頭はすべて着外。53.5キロ以下は【0.0.2.25】と3着が限界。最も成績がよいのは【3.3.3.15】で複勝率37.5%の56キロ台。54~57.5キロを中心に馬券を組み立てたい。

【斤量別の成績(過去9年)】
斤量 成績 勝率 連対率 複勝率
53.5kg以下 0-0-2-25 0.0% 0.0% 7.4%
54kg台 1-2-1-24 3.6% 10.7% 14.3%
55kg台 3-3-1-27 8.8% 16.2% 20.6%
56kg台 3-3-3-15 12.5% 25.0% 37.5%
57kg台 1-1-2-21 4.0% 8.0% 16.0%
58kg台 0-0-0-4 0.0% 0.0% 0.0%
59kg台 1-0-0-0 100.0% 100.0% 100.0%

Check5逃げ切りは困難、追い込みは届く

 直線の長い新潟コースのためか、逃げ馬は大不振。06年のコンゴウリキシオーの6着が最も成績が良く、掲示板に載った馬はいない。4コーナーを2番手で迎えた馬も【1.0.0.21】と苦戦しており、02年にキングフィデリアが勝ったのみ。脚質別だと先行、差し、追い込みといずれも複勝率20%前後でほぼ互角。通常のレースと比べて、追い込み馬の健闘が目立っている。

【脚質別の成績(過去9年)】
脚質 成績 勝率 連対率 複勝率
逃げ 0-0-0-9 0.0% 0.0% 0.0%
先行 2-2-3-25 6.3% 12.5% 21.9%
差し 4-5-3-48 6.7% 15.0% 20.0%
追込 3-2-3-34 7.1% 11.9% 19.0%