第42回 マイラーズカップ(G2)

4月17日(日)阪神競馬場 芝1600m

 数多くあるスポーツの中で情報量が圧倒的に多く、さまざまなデータが用いられ、バラエティ豊かな楽しみ方がある競馬。それゆえキングオブスポーツとも呼ばれており、そんな競馬の中から、より充実した予想を組み立てるために必要となりそうな、選りすぐりのデータを紹介する。今週は、古馬のトップマイラーが集結し、毎年ハイレベルな争いを繰り広げている読売マイラーズカップ(G2)が行われる。2005年の3着馬アサクサデンエンが安田記念を制するなど、このレースをステップに大舞台で活躍した馬は数多くいる。昨年は、3歳時にクラシックを沸かせたリーチザクラウンが久々の勝利を手にして盛り上がった。今年はどんなドラマが生まれるだろうか。そして過去10年のデータからは、どのような傾向が導き出されるのだろうか。
リーチザクラウン

写真:競馬ブック

Check11~3番人気が安定している

 古馬の別定のG2ということもあってか、上位人気が安定した強さを見せている。とくに1番人気は、一昨年にスーパーホーネットが勝つなど【5.1.0.4】。連対率60%という高い数字を誇る。2、3番人気も3着内率がそれぞれ40、60%と堅実。一方、10番人気以下は、2005年の3着アサクサデンエン以外はすべて着外で【0.0.1.47】。人気薄の台頭はほとんど期待できない傾向だ。

【人気別の成績(過去10年)】
人気 成績 勝率 連対率 3着内率
1番人気 5-1-0-4 50.0% 60.0% 60.0%
2番人気 1-2-1-6 10.0% 30.0% 40.0%
3番人気 3-2-1-4 30.0% 50.0% 60.0%
4~6人気 0-2-5-23 0.0% 6.7% 23.3%
7~9人気 1-3-2-24 3.3% 13.3% 20.0%
10~18人気 0-0-1-47 0.0% 0.0% 2.1%

Check2前走大敗からの巻き返しも多い

 比較的堅い決着で決まるケースの多いマイラーズCだが、前走の着順はあまり当てにならない。前走1着馬の勝率は11.1%、3着内率25.9%でそれほど高い数字ではない。一方、前走10着以下から巻き返した馬は昨年優勝したリーチザクラウンなど【3.2.3.31】、3着内率は20.5%で、前走1着馬とそれほど変わらない。一番の狙い目は【1.3.1.6】の前走4着馬。じつに45.5%という高い3着内率を誇る。

【前走の着順別の成績(過去10年)】
前走着順 成績 勝率 連対率 3着内率
1着 3-3-1-20 11.1% 22.2% 25.9%
2着 2-0-2-10 14.3% 14.3% 28.6%
3着 0-1-1-6 0.0% 12.5% 25.0%
4着 1-3-1-6 9.1% 36.4% 45.5%
5着 1-0-0-7 12.5% 12.5% 12.5%
6~9着 0-1-2-28 0.0% 3.2% 9.7%
10着以下 3-2-3-31 7.7% 12.8% 20.5%

Check3前走からの距離短縮組が好結果

 前走の距離別の成績では、マイラーズCよりも長い1700~2000mを使って参戦する馬が3着内率31.4%と高い結果を残している。その中でも中山記念組は【5.3.2.8】で3着内率55.6%と大活躍。一方、1300m以下の距離は勝ち馬を出しておらず、連対率が5.9%と厳しい結果だ。G1の高松宮記念組は【0.1.1.11】とわずかに2、3着が1頭ずつ。レースの格から考えると不振といえる。

【前走の距離別成績(過去10年)】
前走距離 成績 勝率 連対率 3着内率
1000~1300m 0-1-1-15 0.0% 5.9% 11.8%
1400~1600m 3-3-3-53 4.8% 9.7% 14.5%
1700~2000m 7-5-4-35 13.7% 23.5% 31.4%
2100~2400m 0-0-1-3 0.0% 0.0% 25.0%
2500m以上 0-1-1-2 0.0% 25.0% 50.0%

Check413番より外枠は厳しい

 ゲートを内、中、外の3つに分けて考えると、外枠の馬はまったく結果を残せていない。13番よりも外側は【1.0.0.23】。24頭が出走して、勝利したのが昨年のリーチザクラウンのみで2、3着はゼロ。過去10年の阪神の芝1600m(オープン)では枠順別の有利不利がほとんどなかっただけに、この結果は突出している。

【枠順別の成績(過去10年)】
馬番 成績 勝率 連対率 複勝率
1~6 2-7-5-46 3.0% 15.0% 23.3%
7~12 7-3-5-39 12.9% 18.5% 27.7%
13~18 1-0-0-23 4.1% 4.1% 4.1%

Check5関東馬が強い

 古馬の重賞は関東馬の方が強い。関西馬は【6.6.6.84】で連対率11.8%、3着内率17.6%。それに対して、関東馬は【4.4.4.22】で連対率23.5%、3着内率35.3%約2倍の差がある。関東馬がこのマイラーズCに出走してくるというのは、ある程度、勝機があるからと考えてよい。

【東西別の成績(過去10年)】
項目 成績 勝率 連対率 3着内率
関東馬 4-4-4-22 11.80% 23.50% 35.30%
関西馬 6-6-6-84 5.90% 11.80% 17.60%
招待馬 0-0-0-2 0.00% 0.00% 0.00%

第71回 皐月賞(G1)

4月24日(日)東京競馬場 芝2000m

 1988年以来、久々に東京競馬場を舞台に行われる皐月賞。その88年は9番人気の2勝馬・ヤエノムテキが優勝。さらに2着には14番人気のディクターランドが入り、枠連しかなかった当時でも6940円という波乱の決着になった。今年は弥生賞を制したサダムパテックが実績では一歩リードしているが、下馬評は上位拮抗の混戦模様。さまざまな路線を進んできた馬の見応えある対決、クラシック一冠目を手中にするのはどの馬だろうか。
ヴィクトワールピサ

写真:競馬ブック

Check31番人気は近年不振、人気薄を警戒

 1番人気は過去10年【4.1.2.3】複勝率70%と一見好成績だが、近5年にかぎると表にある通り、優勝馬は昨年のヴィクトワールピサ1頭。トータル【1.0.1.3】と期待に応えられない馬が多い。一方で、6番人気以下は過去10年【5.7.2.116】複勝率10.8%だが、ここ5年は【3.5.1.56】同13.8%。好走馬14頭中9頭がここ5年で、1番人気の不振とあわせ近年は波乱の色合いが濃くなっている。

【1番人気馬の成績と6番人気以下の好走馬(過去5年)】
馬名 人気 着順
06 アドマイヤムーン 1 4
07 アドマイヤオーラ 1 4
08 マイネルチャールズ 1 3
09 ロジユニヴァース 1 14
10 ヴィクトワールピサ 1 1
06 メイショウサムソン 6 1
ドリームパスポート 10 2
07 ヴィクトリー 7 1
サンツェッペリン 15 2
08 キャプテントゥーレ 7 1
タケミカヅチ 6 2
09 トライアンフマーチ 8 2
10 ヒルノダムール 6 2
エイシンフラッシュ 11 3

Check2人気なら前走勝ち馬、人気薄は前走凡走馬

 5番人気以内の3着以内馬16頭中、13頭は前走1着馬。人気馬なら前走で勝っていないとこのレースでは苦しい。逆に6番人気以下は3着以内馬14頭中8頭が前走3着以下。敗れて人気を落とした馬が巻き返してくる例が目立つ。前走で負けているのに素質や実績が評価されて再び人気になる馬や、前走で好走しているのに人気にならない馬は馬券の対象になりづらい。

【人気と前走着順の関係(過去10年)】
人気 前走着順 成績 勝率 連対率 複勝率
5番人気以内 1着 5-2-6-15 17.9% 25.0% 46.4%
2着 0-1-1-7 0.0% 11.1% 22.2%
3着以下 0-0-1-12 0.0% 0.0% 7.7%
6番人気以下 1着 2-0-1-27 6.7% 6.7% 10.0%
2着 0-2-1-22 0.0% 8.0% 12.0%
3着以下 3-5-0-67 4.0% 10.7% 10.7%

Check3前走レースはトライアル出走馬

 今年はさまざまなレースをステップにした馬の対決になったが、過去10年の連対馬20頭中19頭は弥生賞、スプリングS、若葉Sという皐月賞トライアルに出走していた馬だった。他の路線は好走しても3着までが多く、連対馬は10年前・アーリントンCをステップにしたダンツフレーム1頭しかいない。また、毎日杯やきさらぎ賞組は3着馬もなし。東京開催になった今年は傾向に変化が出るかもしれないが、例年通りなら皐月賞トライアル組が優勢だ。

【前走レース別の成績(過去10年、主なレース)】
前走レース 成績 勝率 連対率 複勝率
弥生賞 4-3-5-32 9.1% 15.9% 27.3%
スプリングS 4-3-1-49 7.0% 12.3% 14.0%
若葉S 2-3-1-17 8.7% 21.7% 26.1%
アーリントンC 0-1-0-6 0.0% 14.3% 14.3%
共同通信杯 0-0-2-5 0.0% 0.0% 28.6%
京成杯 0-0-1-2 0.0% 0.0% 33.3%
毎日杯 0-0-0-14 0.0% 0.0% 0.0%
きさらぎ賞 0-0-0-9 0.0% 0.0% 0.0%

Check42000mの勝利実績と組み合わせに注目

 皐月賞と同じ2000m戦で勝利がない馬でも好走は可能で、過去5年の連対馬は勝利実績があった馬、なかった馬ともに5頭ずつ。ただ、その5年のうち09年を除く4回は、2000mで勝利実績があった馬同士、または勝利実績がなかった馬同士の決着だった。展開によるものか、路線によるレベル差なのかは不明だが、馬連や馬単なら2000mで勝利のある馬同士か、未勝利の馬同士の組み合わせを狙ってみてもおもしろい。

【1~3着馬の2000m勝利実績(過去5年)】
1着馬 2着馬 3着馬
06 メイショウサムソン ドリームパスポート フサイチジャンク
07 ヴィクトリー サンツェッペリン フサイチホウオー
08 キャプテントゥーレ タケミカヅチ マイネルチャールズ
09 アンライバルド トライアンフマーチ セイウンワンダー
10 ヴィクトワールピサ ヒルノダムール エイシンフラッシュ